アーティストがPBRアセット制作を進めていくうえで、基準となる確認環境が必要となります。
一般的に市販されているHDRIを使用してそれらを組み合わせると、カラープロファイルや明るさに一貫性がなく、特にマテリアルの作成時に混乱する場合があります。
また、屋外でのライティングを行う際には太陽輝度を含めた環境光をエンジン上で復元する必要がありますが、その手法もなかなか情報がありません。
そうした問題を解決する為、信頼性の高いライティング環境を自作したいと考えました。
本セッションはライティングリファレンスとして正しいHDRIを取得する方法を解説し、これを用いることで信頼するに足るアセットの確認環境を構築する意義について理解を促します。
・効率的で高品質なHDRI取得方法
・正しい色と太陽輝度まで含めたIBL素材の作成方法
・輝度復元方法
・rec2020等の高色域対応方法
・UE4等、各エンジン上でのHDRI活用方法
これらの手法を共有し、皆様のアセット制作やライティング作業の一助になれば幸いです。
講演資料
- BNS_CEDEC2020_信頼性の高いHDRI作成術.pptx
- CEDiL_信頼性の高いHDRI作成術.zip
- TrueHDRI_200702eitaibridge_L1000.zip
- TrueHDRI_190111EitaiBridgeA_L1000.zip
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講演者プロフィール
菅野昌人
1994年に株式会社ナムコ(現:株式会社バンダイナムコスタジオ)に入社。
「エースコンバット」シリーズ初期よりアーティストとして参加。主に地形や空などの環境製作を行いつつ、メカデザインや世界設定の立案を担当。
エースコンバット7ではアートディレクターを務めると同時にライティング及びTrueskyの設定作業を担当。
CEDEC2019「エースコンバット7における”空の革新”について」講演。
《講演者からのメッセージ》
DCCツールやゲームエンジン上でリアルタイムレイトレースが可能となった昨今、物理ベースライティングを用いたルックデブ環境の重要性が高まっています。信頼性の高いHDRIによるライティング環境下において、アーティストは迷うことなくパフォーマンスを発揮できるでしょう。さらに様々な環境を比較することによって現実世界の探求にも繋げることもできます。本講演をきっかけに、是非皆様方でもHDRIを作ってみてください。
鈴木雅幸
キャラモデリング、モーション、背景、ライティングアーティスト、シェーダーアーティストを経て、現在はTAとしてグラフィックに関する研究や各プロジェクトのサポート業務を行っています
《講演者からのメッセージ》
アセットを実際のライティング環境に出してどう見えるかをチェックできればアセットの調整項目が分かってきます。
実際のライティングを再現するには高輝度まで含んだIBLパノラマを使えば簡単です。
私たちが行っている撮影とパノラマ化までのフローを紹介いたします。
山口翔平
2012年にポストプロダクションに入社しCGテクニカルディレクターとしてCMや映画の制作に携わる。
カラーマネジメント、実写撮影や合成の技術的サポートやツール作成などを担当。
リアルタイムグラフィックスに興味を持ち2019年に株式会社バンダイナムコスタジオに入社。
《講演者からのメッセージ》
HDRIが使われて久しいですが、クオリティーの高いHDRIを撮影しようとするとまだまだハードルが高いものです。
弊社で行っている試行錯誤の結果を共有さていただき、より多くの方のレンダリング環境を更に良いものにできればと思います。