本セッションでは、オーケストラを中心に1000曲以上のレコーディングから得た知見をもとに「限られた予算で最大の成果を出す」ための作曲、編曲、演奏家のアサイン、レコーディングディレクションの手法について、株式会社ノイジークローク所属、作編曲家の坂本英城とサウンドエンジニアの込山拓哉より説明します。
オーケストラのレコーディングはお金の掛かる印象がありますが、制作工程の工夫次第で仕上がりの品質を高く保ったまま費用を抑えることが可能です。「予算を投じなければいけないポイント」と「予算を投じなくても良いポイント」があり、その見極めが大切です。
また、作曲や編曲の段階での工夫により、レコーディング時間の大幅な短縮が可能です。レコーディングの時間が短くなればコストを抑えることができるのはもちろん、楽曲のクオリティをさらに上げるための時間を捻出することができます。
さらにレコーディング前のエンジニアとの摺り合わせやレコーディング後のエンジニアの作業を正確に理解することにより、レコーディング現場でのディレクションの精度と速度が大きく向上します。
以上のとおり、オーケストラのレコーディングは、いくつかのポイントを押さえるだけで費用対効果を大幅に向上させることが可能です。それらについて解説をさせていただきます。
講演者プロフィール
坂本 英城
作曲家・株式会社ノイジークローク代表取締役CEO、ココカラ株式会社代表取締役。琉球フィルハーモニックディレクター、Game Symphony Japan音楽顧問を務める。
ゲームやアニメ、映画を中心に作編曲に携わり1000曲以上のレコーディングを経験する。
積極的な話題作りやファンサービスを貫く姿勢は音楽とともに高く評価され2014年CEDEC AWARDS2014ではサウンド部門で個人で最優秀賞を受賞。
代表作:『大乱闘スマッシュブラザーズ SPECIAL』(メインテーマ「命の灯火」の作編曲)、『文豪とアルケミスト』、『討鬼伝』シリーズ、『タイムトラベラーズ』、『無限回廊』シリーズなど。
《講演者からのメッセージ》
かねてよりゲーム音楽の世界においては、オーケストラはゲームとの高い親和性を保ち続け、常に高い需要のある音楽ジャンルです。
しかしながら、制作環境やプラグインが劇的に進化したいまでも、やはりそのクオリティの面でプロの生演奏にまったく敵わないのが、オーケストラです。
細かな打ち込みに掛かる工数を、少しでも生演奏への予算に充てることができれば、楽曲の完成度も大幅に向上します。
ゲーム音楽の中でも、とりわけオーケストラがお好きだったり、その収録の手法についてご興味がございましたらぜひご聴講のほどよろしくお願いいたします。
込山 拓哉
レコーディングエンジニア 株式会社ノイジークローク所属。
専門学校を卒業後、2003年に株式会社ジョイント・ワン入社。
レコーディングの基礎を学び生音の大切さに気付いた為、2007年に株式会社音響ハウス入社。
長年のスタジオ経験により生音の知識や音色を学び、活躍の場を広めるため、2018年に株式会社ノイジークローク入社。
最近ではレコーディング、ミックスに加えマスタリングまで行う。
代表作:『三国志 14』『映画 前田建設ファンタジー営業部』『アニメ 文豪とアルケミスト』など。
《講演者からのメッセージ》
長年務めたレコーディングスタジオの知識や経験を元に、レコーディング中の話はもちろんのこと、前準備や収録後の作業等についてお話できればと思います。
普段は聞けない内容になると思いますので、ご参加いただけましたら幸いです。
よろしくお願い致します。