人の能力は、自らの「身体」と「環境」との相互作用のなかに存在します。よって「環境」を自在に設計できるゲーム空間の中で我々はスーパーヒーローに変身し、プレイすることが可能となるわけです。
それに引き換え物理空間には様々な制約があります。物理空間でスーパーヒーローに変身するためには、今度は「身体」を自由に設計できるようになる必要があります。それを目指した研究が、我々が取り組んでいる人間拡張工学です。
現在進行している情報革命により、今ある仕事が効率化・自動化した「超ヒマ社会」が到来するとの意見もあります。歴史を振り返ると、今盛んにプレイされているスポーツは、実は産業革命により肉体労働から解放されたことで、多くの人に広まったと言われています。
本講演では、人間拡張工学の最新の知見を交えつつ、講演者が提唱した情報革命時代の人間拡張工学を用いた新たなエンタテインメント『超人スポーツ』の現状と、2020年に向けたチャレンジを紹介します。
講演者プロフィール
稲見 昌彦
1999年 東京大学大学院工学研究科博士課程修了。博士(工学)。同大学助手、電気通信大学知能機械工学科講師、同大学助教授、同大学教授、MITコンピューター科学・人工知能研究所客員科学者、慶應義塾大学大学院メディアデザイン研究科教授等を経て2016年より現職。人間拡張工学、エンタテインメント工学に興味を持つ。現在までに光学迷彩、触覚拡張装置、動体視力増強装置、第3・第4の腕などを開発。米TIME誌Coolest Invention of the Year、文部科学大臣表彰若手科学者賞などを受賞。JST ERATO稲見自在化身体プロジェクト研究総括、IPA未踏PM、超人スポーツ協会発起人・共同代表。著書に『スーパーヒューマン誕生! ―人間はSFを超える』(NHK出版新書)がある。
《講演者からのメッセージ》
我々の身体の未来を共に考えましょう。