従来から使われてきたスプライトベースのレンズフレア(ゴースト)表現では、アーティストあるいはエンジニアが経験則で各ゴーストの形状と並び方を定義することが多かった。これは自由な表現が可能であるが、専門的な経験やセンスが必要であり、かつ光学的な性質による動的な形状の変化への対応が難しい。
近年では反対に物理的なアプローチとして、実際のレンズ構成から各ゴーストの形状をシミュレーションして表示する手法が提案されている。しかし、事前計算の負担や自由度の問題から、実用化には課題も多い。また、必ずしも光学的特性に左右され過ぎない制御が必要となるケースもある。
本セッションでは、物理的には必ずしも正確では無いが充分な尤もらしさと、容易なカスタマイズ性を兼ね備えた実用的なレンズフレア表現について紹介する。
講演者プロフィール
川瀬 正樹
プログラマブル・シェーダ黎明期におけるグラフィクスエンジン開発で、さまざまな基礎技術を考案。
現在はシリコンスタジオ株式会社にてYEBISをはじめとするミドルウェア研究開発に従事。得られた知見は、CEDEC/GDC/SIGGRAPHなどの技術講演で業界への共有を図っている。
CEDEC AWARD 2009 プログラミング・開発環境部門ノミネート。
《講演者からのメッセージ》
久しぶりの光学関連のセッションになります。
内容を完全に理解するためにはある程度専門的な光学の知識が必要になりますので、その意味で難易度は「辛口」としています。ただ、技術的な詳細は判らなくとも概念や考え方は感覚的に理解できるような内容にする予定です。
学術的なセッションというよりは、アーティストやテクニカルアーティストの方も対象として気軽に参加して頂けるものを目指したいと考えています。