ゲームと機械学習の最前線 〜現状と未来を正しく捉えるために〜

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日時:
2019年09月06日(金)11時20分〜12時20分
形式: パネルディスカッション(60分)
プラットフォーム: コンシューマ アーケード PC モバイル
受講スキル:
ゲーム開発・運用における機械学習活用について興味のある方。特に、機械学習活用の現状を認識して将来の見通しについて考えたい方。ゲームAIや機械学習についての深い知識は必要ありません。最新研究についても丁寧に解説するため、気軽にご参加いただけます。
受講者が得られるであろう知見:
ゲーム領域においてどのような機械学習導入が行われているか、国内外の豊富な事例の紹介と共に2019年の現状を俯瞰することができます。また、単なる事例の紹介に留まらず「これらが実際にどのようなビジネスやUXの変化をもたらすのか」といった現実的な観点での分析や、今後の見通し等、興味範囲に応じて多くを持ち帰っていただくことを目的にしています。
セッションの内容

近年の機械学習研究の進捗は目覚ましく、ゲーム産業でも様々な活用事例が報告されてきています。一方で、これらの技術に対する加熱した期待値も成熟を迎え、「ゲーム開発・体験にどの程度インパクトを与えるか」「どのように戦略的な活用を目指していくべきか」といった論点に注目が集まっています。本セッションでは、ゲームと「機械学習」の関わりについて認識を深めていきます。パネリストとしては、機械学習導入を実際に成功させ、ゲーム開発やUXへの影響について見通しを持つメンバーを集めました。国内外で発表されている多くの事例を整理し、2019年時点で出来ること・不足している要素、中長期的な戦略について、現実的な目線で議論を展開します。


講演資料

  • CEDEC2019_Frontier_of_Game_and_AI.pdf

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講演者プロフィール

奥村純

奥村純
所属 : 株式会社ディー・エヌ・エー
部署 : AIシステム部・AI研究開発グループ
役職 : AI研究開発エンジニア

国内外の研究機関で観測的宇宙論の研究に従事し、京都大学理学研究科宇宙物理学専攻にて博士号取得。DeNAではデータアナリストとしてユーザー体験や事業推進をデータからサポートすることを目指し、主にゲーム領域のデータ分析・パラメータ設計の経験を積む。2017年よりAI研究開発エンジニアに転身しゲームAIの研究開発を推進、 複数のAI施策をリリース。機械学習の実ビジネス適用や、UXデザインに興味を持っている。
著書:
『データサイエンティスト養成読本 ビジネス活用編』
講演:
『次世代QAとAI 』(CEDEC2018)
『一周年で爆発した「逆転オセロニア」における、ゲーム分析の貢献事例』(CEDEC2017)

《講演者からのメッセージ》
昨年は『次世代QAとAI』というテーマで、QA文脈にフォーカスして機械学習の活用方法や見通しを議論しました。その後も技術は様々な形で進展しており、ゲーム開発の多くの領域で機械学習導入のトライアルが行われたり、学術業界によるゲームAI研究も進んだりしています。本セッションではより広い観点から「ゲーム」と「機械学習」の関係を考えます。国内外の最新事例の紹介から現在の状況を俯瞰し、現実的な目線で今後の見通しについて議論を広げていけたら嬉しいです。

三宅陽一郎

三宅陽一郎
所属 : 株式会社スクウェア・エニックス
部署 : テクノロジー推進部
役職 : リードAIリサーチャー

京都大学で数学を専攻、大阪大学(物理学修士)、東京大学工学系研究科博士課程(単位取得満期退学)。2004年よりデジタルゲームにおける人工知能の開発・研究に従事。理化学研究所客員研究員、東京大学客員研究員、九州大学客員教授、IGDA日本ゲームAI専門部会設立(チェア)、DiGRA JAPAN 理事、芸術科学会理事、人工知能学会編集委員。著書に『人工知能のための哲学塾』『人工知能の作り方』。共著に『FINAL FANTASY XV の人工知能 – ゲームAIから見える未来』『ゲーム情報学概論』『絵でわかる人工知能』『高校生のための ゲームで考える人工知能』。監修に『最強囲碁AI アルファ碁 解体新書』『ゲームプログラマのためのC++』『C++のためのAPIデザイン』などがある。

《講演者からのメッセージ》
デジタルゲームの人工知能の発展は、ゲームの中のAI(メタAI、キャラクターAI、ナビゲーションAI)から、ゲームの外のAI(開発をサポートするAI)に広がり、両者が相互作用する中で形成されて行きます。またプランニング、ビヘイビアツリー、パス検索と言った伝統的な人工知能から、強化学習、遺伝的アルゴリズム、データ解析とより技術の領野を広めつつあります。現在の状態を定義することは難しいことですが、なるべく多くの方にゲームAIの可能性をお見せできれば幸いです。

長谷 洋平

長谷 洋平
所属 : 株式会社バンダイナムコスタジオ

2009年、株式会社バンダイナムコゲームスに入社。
エースコンバットシリーズ、鉄拳シリーズなどにゲームプレイプログラマとして携わる。
現在はオンラインアクションRPGのBLUE PROTOCOLにおいてリードAIプログラマとして携わりつつ、最新技術のリサーチや内製の汎用ゲームAIエンジンの開発も行う。

・過去講演、執筆
複数タイトルで使われた柔軟性の高いAIエンジン, CEDEC2015
LOST REAVERSにおけるAI Directorの試み, CEDEC2016、他2件
Perception Tree ~Behavior Treeを応用したお手軽、柔軟な環境認識システム~, CEDEC2017
空を優雅に飛ぶキャラクターのための3次元パス検索とステアリング, CEDEC2018、他1件
汎用ゲームAIエンジン構築の試みとゲームタイトルでの事例, 人工知能学会誌 Vol.32 No.2
その他、大学やセミナー等での講演

《講演者からのメッセージ》
機械学習は日々新たな技術が開発され、様々な分野への応用も進んでいます。それはゲームも例外ではなく、今まさにゲーム開発やゲーム自身が大きく変わろうとしています。そうした大きな流れの中で状況を正しく把握するためには俯瞰した目線で情報を整理する必要があります。ゲームの未来がどのようになるのか、その一端を少しでも感じていただけるようお話しできればと思います。