本セッションでは、まず、AlphaZeroをベースとしたオリジナルのAIモデル(以下、モリカAI)を使ったボードゲームの学習の仕組みを説明します。
ターゲットとするボードゲームは、2人完全情報ゲームおよび2人一部不完全情報ゲームです。
次に、AIにボードゲームの戦術の学習させるための、AIの構造や入出力の表現方法について、実際のボードゲームをターゲットにして、具体的に説明し、その際の問題点、その対策方法などを紹介します。
実際に、複数のボードゲームについて学習させた結果を発表します。
最後に、ルールベースに頼らない、また、教師データを必要としないAIを使う意義、その将来性について説明します。
【特別ゲスト】
講演中、北尾まどか女流二段をお呼びし、モリカAIとの対戦デモを行います。
女流棋士相手にモリカAIがどう戦うか、どこまで戦えるか、リアルタイムでご覧いただけます。
皆様ぜひお越しください!
講演者プロフィール
森川幸人
ゲームAI設計者、グラフィック・クリエイター。
モリカトロン株式会社代表取締役。株式会社ムームー代表取締役。
筑波大学非常勤講師。
2004年「くまうた」で文化庁メディア芸術祭 審査員推薦賞、
2011年「ヌカカの結婚」で第一回ダ・ヴィンチ電子書籍大賞大賞受賞。
著書に「マッチ箱の脳」「テロメアの帽子」「ヌカカの結婚」「イオの黒い玉」「絵でわかる人工知能」(共著)「イラストで読むAI入門」「僕らのAI論」
ゲーム制作「がんばれ森川君2号」「ジャンピング・フラッシュ」「アストロノーカ」「くまうた」等。
テレビ出演他2009年 NHK「ワンダーxワンダー ホッケ柱」
2016年 NHK Eテレ「世界を変える魔法! アルゴリズミ子 研究所」
《講演者からのメッセージ》
概念的な話ではなく、なるべく実用に役立つような具体的な研究結果を報告したいと思っています。エンジニア他ゲームプランナーの方(文化系の方)にもわかる形になるよう心がけます
松原卓二
プログラマ。動物写真家。モリカトロン株式会社勤務。
1989年ソフト開発の有限会社クエイクを設立、日本におけるMacintoshプログラマの草分けとして活動。1997年発売のPSゲーム「がんばれ森川くん2号」では、ゲーム内キャラPITにニューラルネットを搭載、プレイヤーの指示をランタイムに学習させた。現在はモリカトロンでゲームAIの研究開発をしつつ、動物写真家としても活動している。
代表作は「がんばれ森川くん2号」「ここ掘れ!プッカ」(PS)、「つくってうたう さるバンド」(DSi)、「アニマル・レスキュー」(iOS)、「サムライメック1・2」他(Mac)、「Macintoshプログラミング入門」他(書籍)。「動物オメガ図鑑」「エナガのねぐら」他(写真集)
《講演者からのメッセージ》
AlphaZeroの仕組みをいろいろなタイプのゲームに適用しようと頑張りました。その結果と苦労と工夫について、お話しします。
成沢理恵
スクウェア・エニックスにて長年コンシューマ・PC・モバイルの幅広い分野でプロデューサーとして活躍し、現在は270万ダウンロードを超える大ヒットアプリ「おそ松さんのへそくりウォーズ~ニートの攻防~」のプロデューサーや東京、神戸、福岡、沖縄など12社のゲーム会社の役員や顧問を務める
《講演者からのメッセージ》
国内初のゲームAI専門会社として立ち上がったモリカトロン初のCEDEC講演となります。
モリカトロンの研究成果が皆さんの開発に役立ち、何かのヒントになるよう、価値のある講演になるよう努めます。
北尾まどか
女流棋士。2000年プロデビュー。09年10月から半年間、NHK将棋講座にレギュラー出演。
女流プロ公式戦の対局をこなす傍ら、幼稚園、小・中学校などの教育機関での出張授業や、原稿執筆、講演など、幅広く活動している。
2010年に将棋普及のため「株式会社ねこまど」を設立し、代表取締役を務める。「将棋をもっと楽しく 親しみやすく 世界へ」を理念に掲げ、世界中でイベント出演など将棋を通じて国際交流を行っている。
多くの子どもたちに将棋を楽しんでもらおうと考案した「どうぶつしょうぎ」は、発売以来累計60万個を突破するヒット商品になり、世界各地でローカライズされている。「やさしくてよくわかる!はじめての将棋レッスン」(日本文芸社)など著書多数。
《講演者からのメッセージ》
将棋界では近年、AIの成長が目覚ましく、プロの対局にも大きな影響を与えています。私は将棋だけではなく他のゲームもよくプレイするので、なんでも一緒に遊んでくれるお友達AIがいたらいいな、と思ってます。…負けないゾ。