JANOG(日本ネットワーク・オペレーターズ・グループ)はインターネットサービスを提供するインターネットサービスプロバイダ(ISP)やコンテンツプロバイダ、ネットワーク機器製造メーカなど、ネットワーク事業者の運用者が中心となって集まる技術コミュニティです。年2回開催されるJANOG Meetingには全国各地から1000名超のエンジニアや関係者が参加し、ネットワーク運用や技術にまつわる発表や議論を行っています。
これまでのJANOG Meetingでもゲーム開発者達からISPが提供するネットワークの挙動やパフォーマンスについてのレポートや分析が行われてきました。特にオンライン対戦ゲームとネットワーク運用は密接な関係にあり、両者の開発者たちは深く連携していかなくてはなりません。
このセッションではISPの運用者に集まっていただいて、IPv6対応やIPv4 NAT、IPv4アドレス枯渇対策技術など、現在のマスユーザ向けの通信環境の特徴や傾向を紹介するとともに、それらがインターネット越しのオンライン対戦ゲームなどを作成する時や、ゲームソフトを配信する時にどのような影響を与えるのかを皆様と議論していきたいと思います。
講演者プロフィール
川上 雄也
インターネットマルチフィード株式会社にてインターネット・エクスチェンジ「JPNAP」の開発・運用を担当。ネットワークオペレーションの自動化やバックボーンネットワークの設計を実施。その傍らVNE事業で必要なIPv4 over IPv6技術の動向調査や検証を実施。CEDEC2014, 2015の会場無線ネットワークを構築し、IPv6 only ネットワークなどの実験も行う。現在はエンタープライズ向けクラウドサービスのSDN基盤の開発に従事し、IPv6対応なども担当している。2015年より日本ネットワーク・オペレーターズ・グループ(JANOG)運営委員。
《講演者からのメッセージ》
インターネットサービスプロバイダが作るネットワークはゲームやアプリケーションを開発する皆様にダイレクトに影響をするとても重要な部分です。このセッションを通じてネットワーク事業者とゲーム開発者のお互いの理解が深まればとても嬉しいです。
伊藤 良哉
2013年 NTTコミュニケーションズ株式会社入社。
日本最大級のインターネットサービスであるOCNの設計開発を担当。近年はOCNのフレッツIPoE接続に関する開発に従事。
■過去の講演
JANOG43「OCNネットワークアーキテクチャの変遷と将来」
《講演者からのメッセージ》
ここ数年で家庭向けの通信環境に変化が生じています。
NTT東日本・NTT西日本が提供するフレッツ光でのIPv6の普及率が50%を越える一方で、
従来のように1つのIPv4アドレスを占有して使うことができなくなりつつあります。
この変化の中で、ゲーム開発者の皆様がどのような影響があるか、議論ができればと思っております。
中川あきら
[本業]
・2010年〜2017年 IPv6ネットワーク事業者である日本ネットワークイネイブラー株式会社 (JPNE) の立ち上げに従事
・2017年〜 日本インターネットエクスチェンジ株式会社 (JPIX) において新規事業企画に従事
[インターネット コミュニティー]
・2004年よりJPOPF運営チーム (国内におけるIPアドレスのコミュニティー) の運営に従事
・2010年 IPv6普及・高度推進協議会において、Co-ChairとしてIPv6家庭用ルータガイドラインを共同執筆
・東京及び地域における IPv6 Summit 運営に従事
・Internet Week におけるプログラム委員を担当(IPv6担当)
《講演者からのメッセージ》
こんにちは。
世界では、IPv6 が当たり前になってきています。
一方、ビジネスにおいても技術(標準化) においても IPv4 の「劣化」が進行し、進行させ、且つコストが上がっています。
これらについて、最新動向及び「なぜ」をロジカルに共有した上で、この潮流において、ゲーム業界における振る舞いを考える際に材料の一つになればと思い、みなさまと時間を共有させていただきたいと思います。
それでは、横浜でお会いしましょう !!
佐藤 元彦
2008年 株式会社コナミデジタルエンタテインメント入社。
オンラインゲームのネットワーク技術開発、特にNAT越えアルゴリズム、IPv4/v6デュアルスタックP2P通信ライブラリの開発を担当。近年はWANエミュレーションやモバイルネットワーク、IPv6/共存技術の研究にも注力。
*過去の講演*
JANOG43「IPv4/IPv6デュアルスタックなリアルタイムP2P通信を行うオンラインゲームにおける、現在の国内/海外ネットワーク環境と、それに対する検証環境の構築手法」
CEDEC2018「コンシューマー・モバイルタイトルでIPv4/IPv6デュアルスタックなP2P通信をサポートしてきた中でやった事 〜 ここ数年のネットワーク環境の変化と社内検証環境の変化」
情報ネットワーク研究会(2017/11)「Game Client からみた Broadband, Mobile Broadband 環境 における遅延傾向の違いとその対策」
CEDEC2015「多様なモバイルブロードバンド環境でリアルタイム通信を行なう上で考えるべき遅延特性」
CEDEC2014「モバイルブロードバンド時代におけるP2P通信の落とし穴」
CEDEC2013「Router & Network Report 2013 for P2P Online Game」
《講演者からのメッセージ》
インターネットのトラフィックの増大にともなうピーク時間帯の輻輳、IPoE化/CGN普及の副作用による透過性・接続安定性の劣化等...etc が及ぼす影響はどの程度深刻なのだろうか。
コンシューマー、モバイル、アーケード、様々な国内のゲームプレイの場面で、ここ1,2年のうちに直面して頭を抱えた人も居るだろうし、噂で聞いただけの人もいるだろう。
これらの話題はゲーム業界だけで悩んでいても如何ともしがたく、インターネットを取り巻く各業界との議論・協力が必要不可欠だ。
今年は、そのとっかかりとしての場が作れたので、いつもとはちょっと違う切り口で、ゲームとネットワークを語りたいと思う。