現代社会において「機械学習」の研究が盛り上がっている中、ゲーム企業もゲーム開発に向けての応用を考え、導入実験を進めながら様々な工夫をしています。本パネルでは、日本のゲームAIを率いるリーダーをお呼びして、機械学習の応用に対して、どんな要望を持ちながら、どんな方向性で、どんな課題にぶつかり、どんな取り組みをしているか、パネルディスカッションを行います。観客からの質問も受け、機械学習の応用について意見交流し、多くの疑問に応じて日本のゲーム開発者コミュニティーに貢献したいと考えています。
講演者プロフィール
レミ ドリアンクール
テクノロジー推進部 ジェネラル・マネージャー。
ロボット工学、機械学習、自然言語処理に10年ほど携わった後、2009年スクウェア・エニックスに入社。R&Dエンジニアとして研究開発を行い、E3 2012で公開された「Agni's Philosophy」のリアルタイムテックデモのリードグラフィックスエンジニアとして貢献。2014年に現職に就任し、ゲーム開発に必要な技術の研究開発を行いながら、スクウェア・エニックスのタイトルに先端且つ汎用的な技術を提供する任務を果たしている。
《講演者からのメッセージ》
ゲーム業界では、機械学習の応用の成果物がまだ少ない中、機械学習への取り組みに悩んでいる開発者の「コミュニティー」には、情報共有と意見交流の基盤になれば嬉しく存じます。
岩倉 宏介
1995年、KONAMI 入社。
主な参加タイトル:
『悪魔城ドラキュラX-月下の夜想曲-』(PS) / 敵キャラクターAI
『OZ』 (PS2) / 敵キャラクターAI
『SILENT HILL 4 THE ROOM』 (PS2) / エンジンプログラム、NPC AI
『幻想水滸伝ティアクライス』 (DS) / エンジンプログラム
現在は、ゲーム制作に関する技術の研究開発に従事。
《講演者からのメッセージ》
まだ試行錯誤が続いている領域ではありますが、実際に技術を使って得られた知見をお話できればと思っています。
新野 恵貴
1994年、株式会社カプコン入社。
2007年までコンシューマゲーム機のタイトル制作に携わった後、内製ゲームエンジンである『MT FRAMEWORK』のAIツール/ランタイム実装を担当。
現在は同じく内製ゲームエンジンである『RE ENGINE』のAIモジュール開発を担当している。
《講演者からのメッセージ》
機械学習を現場でどのように使っていくか、今まさに取り組みを始めた段階です。同じような段階、これから取り組んでいこうという方々と共有できるようなお話ができればと思います。
甲野 佑
博士 (情報学).2017年4月に中途入社.大学時代はヒトの意思決定傾向や脳における行動の習慣/階層化過程を組み合わせた強化学習モデルの基礎研究を行っていた.入社以来ゲームAI開発に携わっており,学習アーキテクチャ全体の設計と強化学習アルゴリズムの研究開発などに従事している.2018年4月より副業として東京電機大学にて機械学習・強化学習・プログラムを教える講師も務めている.
《講演者からのメッセージ》
AI という言葉の響きと現実には依然として大きな乖離があります.現場の話としてなるべく正確さを心掛けつつ,如何に夢を描いていくかをお話しできればと思います.
三宅 陽一郎
京都大学で数学を専攻、大阪大学大学院理学研究科物理学修士課程、東京大学大学院工学系研究科博士課程を経て、人工知能研究の道へ。ゲームAI開発者としてデジタルゲームにおける人工知能技術の発展に従事。国際ゲーム開発者協会日本ゲームAI専門部会チェア、日本デジタルゲーム学会理事、芸術科学会理事、人工知能学会編集委員。著書に『人工知能のための哲学塾』『人工知能の作り方』、共著に『絵でわかる人工知能』『高校生のための ゲームで考える人工知能』『ゲーム情報学概論』(コロナ社)最新の論文は『大規模ゲームにおける人工知能─ファイナルファンタジーⅩⅤの実例をもとに─』(人工知能学会誌 2017年、AI書庫にて公開)
《講演者からのメッセージ》
機械学習のデジタルゲームへの導入は細々としたものから、大きな潮流になろうとしています。この分岐点を象徴するパネルになれば良いかと思います。ゲームデザインと機械学習、ワークフローと機械学習というゲーム産業固有のテーマについても語りたいと思います。