「South Park: The Fractured But Whole」は米国の人気コメディアニメ「サウスパーク」を原作としたRPGゲームですが、原作に負けないくらい徹底的にコメディを追求しました。筋書きのあるTVと異なり、ゲームではプレイヤーがメンバーを自由に入れ替えたり、戦闘シーンで好きな行動を取る自由度がありますが、ちゃんと文脈に沿ってサウスパーク的ギャグを炸裂させることができるように、独自のダイアログシステムを開発しました。コメディ追求のために作ったシステムですが、シンプルで拡張性があり、豊富で応用のある「かけあい」を実現したい他のゲームでも応用が効くものとなっています。
講演者プロフィール
Weber Benjamin
カリフォルニアにあるElectronic Artsでゲーム開発に携わった後、日本に興味あったこともあり、アメリカから日本に引っ越し。
その後、Ubisoft Osakaに参加しました。
Ubisoft OsakaではPetzシリーズ・Just Dance Kids 2014・Tetris Ultimate・South Park: The Fractured But Wholeを開発。
《講演者からのメッセージ》
「South Park」はほかのIPと異なり、ゲームを作るときに特に気を付けなければならない部分が多くありました。
キャラクターがよくしゃべっても、タイミングが変だったり、空気が読めていなかったり、しゃべりが面白くなかったりすると、「South Park」ファンのプレイヤーはついてきてくれません。
そのため、「South Park: The Fractured But Whole」のための独自のダイアログシステムを作る必要があることがわかりました。
今回の講演では、何のために、どんなシステムを作って、そして、どのような問題が起きたのかを説明させていただきます。
湊 和久
PCゲーム開発のプログラマ、アニメ制作のアニメーターを経て、日本の大手ゲーム開発会社でアーケードゲーム・家庭用ゲームの開発に9年間従事。2016年よりUbisoft Osaka所属。自著に『Unreal Engine 4で極めるゲーム開発』 (2015)、翻訳監修に『ゲームエンジンアーキテクチャ 第2版』 (2015)などがある。
《講演者からのメッセージ》
「South Park:The Fractured But Whole」のダイアログシステムは、シンプルな設計で、驚くほどの会話バリエーションと、状況にあわせた巧みな会話や台詞のチョイスを提供してくれました。私たちはこの仕組みを主に「ギャグ」に使いましたが、豊富でしっかりとした台本を書き、音声を録音して、上手に組み込むことで、キャラクターのやりとりやリアクションに命を吹き込みたいという気持ちは、洋の東西・ジャンルを問わず存在するのではないでしょうか。
複雑なやりとりを実現するからといって、複雑なシステムが必要だというわけではありません。実現する方法論はいろいろあると思いますが、今回の講演でそのアイデアのひとつを共有できればと考えています。