FINAL FANTASY XVでは12言語を世界同時発売しました。12言語という数字は北米・西欧タイトルと比べると多い方ではありませんが、スクウェア・エニックスのコンソールタイトルとしては最大級です。本セッションでは、12言語の字幕と4言語のボイスそれぞれの対応にいたったプロセスや、なぜ日本語タイトルの多言語同時発売が難しいのかを説明し、それを解決するための挑戦を紹介します。またケーススタディとして、ゲーム開発中にローカライズについて意識しないといけない点について、プログラマ視点から説明します。
講演者プロフィール
長谷川 勇
オープンソース開発、ソフトウェアプロダクト開発、エンタープライズシステム開発などの様々な開発を経てゲームプログラマに。株式会社スクウェア・エニックスに入社後は、Luminous Studio、FINAL FANTASY XVの開発に参加し、VFX・UIを担当。株式会社Luminous ProductionsではR&Dを担当。専門は言語処理系。ACM SIGGRAPH Asia 2018 Real Time Live! Chair、情報処理学会ソフトウェア工学研究会運営委員、情報処理教育委員。共著『ゲームエンジニア養成読本』(Software Design plusシリーズ、技術評論社)。
《講演者からのメッセージ》
ゲーム開発においても国際化を考える機会が増えてきました。ソフトウェアの国際化は古くからある課題ですが、ゲーム開発特有のノウハウや落とし穴もたくさんあります。本セッションでは、FINAL FANTASY XVの開発で得られた国際化に関する知見を共有し、各スタジオで情報交換などできればと思います。
大櫛 嘉伸
2010年 株式会社スクウェア・エニックス入社。
これまでにいくつかのFINAL FANTASYコンソールタイトルの海外版同時開発の制作進行を担当。「FINAL FANTASY XV」では、グローバルローカライズディレクターとして日本語を除く11言語の字幕と4言語のボイスを統括して海外版制作のリードを務め、海外で販売される各主要地域のパブリッシャーとの渉外等も行った。CEDEC 2017で発表された翻訳支援・管理システム Byblosの開発にも携わっている。
《講演者からのメッセージ》
欧米で開発されるタイトルに比べ、日本のタイトル(特にRPG)はまだ多言語同時展開に多くの課題を抱えているように見えますが、今回の講演ではその主要な問題点を挙げていくと共に、改善に向けてどのような事が出来るかを皆さんと一緒に考えていければと思っています。既に海外版の開発に携わっている、もしくは今後その予定がある方には是非ご参加いただけると幸いです。