最近のPCや家庭用ゲーム機の高性能化していますが、実用的なサウンドシステムを実現するためには、全CPUリソースの5%程度に抑える必要があります。臨場感あふれるサウンド演出のために独自のエフェクタなどを導入しようとしても、CPUパワーの制限で諦めることも多いのではないかと思います。
有益なサウンド処理のアルゴリズムや理論に関しては、インターネットや書籍などから知識を得ることはできても、実装技術についての情報はあまり入手できないのが現実です。実装上問題となるCPU負荷の増加の大きな要因として、計算量の他にメモリアクセスがあります。
「メモリに触るな!」をテーマに、信号処理の高速化技法を具体的に解説します。IIRフィルタやFFTなどの基本的な信号処理の高速化を実際のコードを提示しながら説明します。
さらに実際的な信号処理として、ゲーム内にリアルな音響空間を実現するコンボリューションリバーブ、インタラクティブミュージックの転調を実現するフェーズボコーダ、独自の効果音を自由に生成するためのPCM音源などのデモンストレーションを行います。
講演者プロフィール
押見 正雄
1987年 早稲田大学理工学部機械工学科卒。
同年 人工知能研究者としてCSK総合研究所(CRI)に入社。
1990~2001年
セガサターン・ドリームキャストの映像・音声関連のシステムソフト開発に従事。
1995年 サウンドミドルウェア CRI ADXを開発、販売。
2001年 CRI・ミドルウェアの創業メンバーとして参画。
2013年 同社代表取締役就任。
音声・映像の技術が大好きなオヤジエンジニア。
《講演者からのメッセージ》
30年に渡り、様々な音声処理ソフトの開発をして参りました。
ゲームにとってCPUの処理負荷はとても重要です。
どんなに素晴らしいサウンド効果でも、
CPU負荷が5%を超えると導入が難しくなります。
私の開発の歴史は、CPU負荷との闘いだったと思います。
音声処理のCPU負荷を下げるためのノウハウをお伝えし、
皆様のゲームサウンドの開発の貢献したいと願っております。
峰尾 太陽
2014年 電気通信大学 情報理工学部 総合情報学科卒業
2016年 東京工業大学 計算工学専攻卒業(修士)
同年 株式会社 CRI・ミドルウェアに入社
サウンドミドルウェアADX2の音声信号処理の実装を担当し、
ゲームプラットフォームやその他のDSPに対する信号処理や、
様々なCPUに対する最適化を担当。
《講演者からのメッセージ》
汎用CPUや専用DSPへのサウンド信号処理の実装を行ってきました。
FFTを活用することで、様々な信号処理を低負荷で実現できます。
コンボリューションリバーブやフェーズボコーダーなど、
興味深い音声処理を紹介し、皆様のお役に立ちたいと思っています。