近年、AI研究の大きな進捗によって、ゲーム領域においてもその適用可能性が議論されるようになってきました。特に、継続的に複雑なゲームを運用する必要のあるモバイルゲームにおいては、AIを補助的に利用することでこれら運用プロセスを効率化することが期待されています。
私たちはアプリゲーム『逆転オセロニア』において、強化学習と深層学習を活用することで人間のようにプレイが可能なAIの開発を行いました。 本講演では、これらの研究開発経験をもとに、開発プロセスや運用ゲームへのAI活用において役立つノウハウを詳しく紹介します。
講演者プロフィール
奥村 純
国内外の研究機関で観測的宇宙論の研究に従事し、京都大学理学研究科宇宙物理学専攻にて博士号取得。2014年4月にDeNAでデータアナリストとしてのキャリアをスタート。ユーザー体験や事業推進をデータからサポートすることを目指し、主にゲーム領域のデータ分析・パラメータ設計の経験を積む。2017年1月より機械学習エンジニアに転身し、強化学習技術を中心としたゲームAIの研究開発を推進。機械学習の実ビジネス適用や、UXデザインに興味を持っている。
過去の講演:
『一周年で爆発した「逆転オセロニア」における、ゲーム分析の貢献事例 〜開発・運営の意思決定を全力でサポートする、DeNAのゲーム分析体制〜』(CEDEC2017)
《講演者からのメッセージ》
近年のAI研究の発展は目覚ましく、様々なドメインにおいてその活用が期待・検討されています。ゲーム領域においても、複雑化するゲームの開発・運用をサポートするものとして、あるいはゲーム内のコンテンツとして、今後様々なユースケースが実現していくでしょう。
一方で、AIを実際にゲームに取り入れる際には多くの困難があるのも事実です。ビジネスデザインの難しさ、研究のハードル、システム開発・オペレーションの困難、など様々な粒度・観点で考慮すべき課題があります。
この講演では1年間に及ぶ研究開発の経験を元に、ゲーム領域でのAI活用をどのように進めているかをお話いたします。このような現場観点での情報共有によって、今後のゲーム業界におけるAI活用に少しでも貢献することができればと思っております。