2016年は、OculusやHTC Vive、PSVRなどのコンシューマ向けのハイエンドVR機器が出揃い、対応ソフトが増えてきています。
2017年は、GoogleからDaydreamが登場し、OculusのGear VRと合わせて、手持ちのスマートフォンで高品質なVR体験が可能な環境が整いつつあります。
2018年は、GoogleからDaydream対応のMirage Solo、HTCからVive Focus、OculusからOculus Goといった、CPUやバッテリー、ディスプレイなどが内蔵されたコードレスでStandalone型のVR HMDが登場しています。
そんな市況の中で、人気のあるキャラクターや作品をVRで再現したい、その世界観を体験したいというニーズが根強くあり、それを再現するためのコストやスケジュールが合わないことが多くあります。
2017年にリリースした釣りスタVRは、少人数で様々なプロトタイピング手法を試しながら、多くの方からのフィードバックを受け、Daydreamプラットフォームへリリースすることができました。
限られた予算や開発者の中で、より手軽に、より没入して体験できるモバイルVRのコンテンツに仕上げるための手法を、釣りスタVRの事例の中で解説します。
モバイルVRにおける優位な点は、手持ちのスマートフォンによって手軽にVR体験できることですが、その分、多くの制約があります。
Mirage SoloとVive Focusについては、インサイドアウトのセンサーによる6DoFのポジショントラッキングが可能になったので、ポジショントラッキングについては解決しつつありますが、コントローラーが1本で3DoFであったり、CPUやGPUに対するパフォーマンスチューニングに関する課題が残ります。
それらのモバイルVRの制約を把握した上で、企画面や技術でカバーできないかを試行錯誤して検証した内容や、VR体験イベントを通して製品版に反映していった機能の詳細もお話しします。
講演者プロフィール
渡邊 匡志
面白法人カヤックでコンテンツ開発に5年間従事し、2012年にグリー入社。聖戦ケルベロスや探検ドリランドのエンジニアを経て、2015年にGREE VR Studioの立ち上げに参画。複数のVRプロジェクトをリード。
現在はライブエンタテイメント事業にて、3Dキャラクターによるライブ配信事業に携わり、VR Studioで培った技術を生かしてライブ配信スタジオを開発しています。
《講演者からのメッセージ》
VRコンテンツに開発に関わっていない方でも、釣りスタVRを通じて得るものがあればと思い、開発スタッフにも具体的な内容を発表していただきます。
プロデューサー向けの内容
・限られたリソースで、モバイルVRのコンテンツをどこまで作れるか知りたい。
・自社IPをモバイルVRで作りたい。
ゲームディレクター向けの内容
・モバイルVRコンテンツ開発を完成させるために、どのようにプロジェクトマネジメントすればよいか困っている。
・作り手が足りない場合、どうするべきか。どのように品質を上げていくか。
VFXデザイナー向けの内容
・モバイルVRゲームのエフェクトはどう作ったらよいのか、どのような手法があるか?
UIデザイナー向けの内容
・モバイルVRゲームのUIはどう設計してデザインするべきか?
エンジニア向けの内容
・スタンドアロンVRデバイスでVRコンテンツを作る際に注意することは?
内田 素貴
2013年に新卒としてグリー株式会社に入社。
スマートフォンゲームのクライアントエンジニアや釣りスタの運用を経て、VR Studioに参加。
釣りスタVRではクライアントエンジニアとして、マルチプレイの機能を担当しました。
現在はライブエンターテインメント事業にて、フェイスキャプチャーの実装を担当しています。
《講演者からのメッセージ》
UnityでDaydream対応アプリを開発する上での注意点や、スタンドアロンVRデバイスの対応について、お話しできればと思います。
柳澤 悠太
2015年 グリー株式会社に入社。
釣りスタVRでは主にエフェクト制作を担当。
現在はライブエンターテインメント事業にてエフェクト制作を担当。
《講演者からのメッセージ》
モバイルVRにおけるエフェクト制作ノウハウについて、釣りスタVRの事例をもとにお話しします。
串田 夏子
コーポレートサイトのWebデザイナーを経て、2012年グリー株式会社に入社。
デザイナーとして数々のスマートフォン向けタイトルの開発・運用に従事した後、VRチームへ。
VRタイトルでは『サラと毒蛇の王冠』(2015)『シドニーと操り王の墓』(2015)『Tomb of the Golems』(2016)にコンセプトアーティスト兼UIデザイナーとして開発に参加。『乖離性ミリオンアーサーVR』ではUIデザイン全般を担当。
釣りスタVRにおいてもアートディレクションからUIまで、アートに関わる全般を担当しました。
《講演者からのメッセージ》
VRUI制作でのトライアル・アンド・エラー事例を踏まえつつ、今回はアートディレクションも踏まえた、スタンドアローンでのUIの特性や操作性バランスについてお話しいたします。