AIによる汎用的バランス調整とその可視化: グリムノーツRepage PvPの事例

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日時:
2018年08月23日(木)16時30分〜17時30分
形式: レギュラーセッション
受講スキル:
・AIに興味がある方 ・ゲームバランス調整、特にチューニングポイントの発見にお悩みの方 ・データの読み方、可視化の作り方に興味がある方 ・python/R/SQLといった技術を用いたデータを操作に興味がある方 (特に前提となる知識は必要ありません)
受講者が得られるであろう知見:
・ゲームバランス調整へのAIの利用方法、及びその課題と解決策 ・遺伝的アルゴリズムに関する知見 ・AIチューニングポイントのデータ可視化手法 ・アカデミック技術を活かせるフィールド ・運営のワークフローへの組み込み方
セッションの内容

近年のゲームは、複雑さが増し、バランス調整を人の手で行うことが難しくなってきています。特に対人戦では、コンテンツに対戦相手として人間のプレイヤーが入ってくるため、挙動の予測がしづらく、バランス調整において大きな障壁となっています。

本セッションでは、AIによるゲームバランス調整のサポートの研究成果を、弊社タイトル「グリムノーツ Repage」を題材にし、実装デモと共に広くゲーム開発者にお見せします。 特にPvPにおいて課題となる点とその解決策、トレンド変化等の可視化手法に焦点を当てます。

まず、遺伝的アルゴリズムにより成長したエージェントが、どのようなバトルをするかお見せします。実際のプレイヤーと比較しながら、その意味を分析します。そして、AIのシミュレーション結果を分析・可視化することにより、バトルへの影響力が大きいパラメータやキーとなる要素を発見する手法をご紹介します。

各手法や可視化結果については、実際に利用したツールのスクリーンショットや動画を交え、可能な限りわかりやすい形でお見せする予定です。
・採用したデータのフォーマットや分析に利用した言語、ツール
・時系列表現によるAI進化の過程
・シミュレーション結果、ゲーム内PvPデータが共通的に導き出した強力な戦法
・パーティの強さに影響力の大きかったパラメータの実例
・敢えて無視したパラメータの実例
こういった情報を中心に、役立ったデータの読み取り方の解説と結論をご紹介いたします。

複雑な式は使わず、誰にでもわかりやすいようにお話します。
尚、ゲームの分析ではありますが、KPIの様な運営に絡むお話はございません。


講演資料

  • CEDiL_1771_0.pdf

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講演者プロフィール

眞鍋 和子

眞鍋 和子
所属 : 株式会社スクウェア・エニックス
部署 : テクノロジー推進部 AIユニット
役職 : AIエンジニア

情報工学専攻(修士)卒業後、
コンソールゲーム開発、ツール開発を経て、
スクウェア・エニックスのAIユニットに合流。
現在は、AIによる自動QA・バランス調整に関する研究に従事。

《講演者からのメッセージ》
誰にでもわかる説明をベースに、
実装に必要な情報をはさみながら、
弊社の研究成果の共有を致します。

昨年のCEDECでは、特にAIについて深く掘り下げて発表させていただきました。
(http://cedec.cesa.or.jp/2017/session/ENG/s58d35b366fa55/)
今回比重を置いているのは、AIのデータの可視化・利用方法です。
実際にバランス調整に利用する際の、イメージを掴んでいただけると思います。

淡路 滋

淡路 滋
所属 : 株式会社スクウェア・エニックス
部署 : テクノロジー推進部 オンラインユニット
役職 : オンラインエンジニア

業務システムのエンジニアを経てスクウェア・エニックスへ入社後、主にサーバ側開発を担当。直近はクラウド利用やデータ可視化、モバイルアプリ開発に携わる。

《講演者からのメッセージ》
リサーチャーの研究・成果創出を支え、非リサーチャーへ伝わりやすく情報を整理・分析・可視化「仲介者」の役割としてやってきたことを、可視化例を踏まえながらお伝えできればと思います。

共同研究・開発者

・Driancourt Remi(株式会社スクウェア・エニックス テクノロジー推進部)
・三宅 陽一郎(株式会社スクウェア・エニックス テクノロジー推進部)
・重国 和弘(株式会社スクウェア・エニックス テクノロジー推進部)