本来、ゲームとストーリーは水と油のような関係で、単に同じ器に注ぎ込んだだけでは分離してしまうものです。そのためゲームシナリオ制作には、ゲーム仕様という制限の中で通常の映像シナリオとは異なる試行錯誤――「乳化剤」が必要になります。
続編、ハード変更、前作の3倍強のミッション数、タイトなローカライズスケジュール…と様々な制限で制作したPlayStation®4用ソフトウェアタイトル『GRAVITY DAZE 2』に、どのような「乳化剤」を用意し、どのような結果を得られたのかをシナリオ・ローカライズの視点からご紹介します。
講演者プロフィール
佐藤直子
経歴:
コナミ株式会社にて2D、3Dデザイナーとして勤務した後、株式会社ソニー・コンピュータエンタテインメント(現、ソニー・インタラクティブエンタテインメント)に入社。『SIREN』シリーズからゲームデザイナー職に転向。主に設定、シナリオ周りを担当。
タイトル履歴:
『ヴァンダルハーツ 失われた古代文明』
『サイレントヒル』
『夜明けのマリコ』
『SIREN』、『SIREN2』、『SIREN: New Translation』
『GRAVITE DAZE/重力的眩暈:上層への帰還において、彼女の内宇宙に生じた摂動』、『GRAVITY DAZE 2/重力的眩暈完結編:上層への帰還の果て、彼女の内宇宙に収斂した選択』
《講演者からのメッセージ》
かれこれ10年以上、アクションアドベンチャーゲームのシナリオを担当してきました。歴代プロジェクトの中で過去最大のテキスト量となった『GRAVITY DAZE』シリーズ。シナリオ制作において如何なる選択を行い、如何なる帰結を果たしたのか――その奮闘の軌跡をご紹介したいと思います。
ベイリー・エリック
経歴:
プロジェクトマネージメント経験15年以上。株式会社インタック、株式会社カプコンにてローカライズ周りのプロジェクトマネジャーとして勤務した後、株式会社ソニー・コンピュータエンタテインメント(現、ソニー・インタラクティブエンタテインメント)に入社。ゲームデザイナーとして勤め、スクリプト、レベルデザイン、ツール開発、シナリオ、ローカライズ周り、必要に応じて担当する何でも屋。
タイトル履歴:
『メタルギアソリッド3』、『鬼武者3』、『新鬼武者』、『ロストプラネット』、『バイオハザード5』、『ロックマンゼロ4・ZX』など
『SIREN: New Translation』、『パッペティア』
『GRAVITE DAZE/重力的眩暈:上層への帰還において、彼女の内宇宙に生じた摂動』、『GRAVITY DAZE 2/重力的眩暈完結編:上層への帰還の果て、彼女の内宇宙に収斂した選択』
《講演者からのメッセージ》
SEからローカライズ、そしてゲームデザイナーとして道に進み、プログラミングからシナリオとローカライズまで様々な経験を積んできました。今回ゲームコンテンツの量が豊かな『GRAVITY DAZE 2/重力的眩暈完結編:上層への帰還の果て、彼女の内宇宙に収斂した選択』にて想像力とプロジェクトマネージメントの経歴が最大に試されました。シナリオ担当と手を組み、不可能と思われたミッションをどのようにして可能にしたか、紹介したいと思います。