近年のリッチなゲームにおけるAIキャラクターは、激しい起伏や多くの遮蔽物のあるワールドで、環境中のオブジェクトを有効に使用しながら戦略的で自然な行動をすることが要求されています。このようなAIでは、キャラクターの周りの環境を知覚、分析して評価を行う高度な認識システムが必要になります。現在開発中のタイトルで使用しているAIエンジンでは、Behavior Treeを応用することでデザイナでも使用しやすいシステムを低コストで実装しました。本セッションでは、このシステムの紹介を通して、ゲームAIにおける環境認識手法を解説いたします。
講演者プロフィール
長谷 洋平
経歴:
2009年、株式会社バンダイナムコゲームスに入社。
エースコンバットシリーズ、鉄拳シリーズなどにゲームプレイプログラマとして携わる。
現在はAIプログラマとして最新技術のリサーチから製品向けの設計・開発まで幅広くこなす。
・過去講演、執筆
複数タイトルで使われた柔軟性の高いAIエンジン, CEDEC2015
プレイヤーに反応するだけのAIはもう古い!ゲームAIへのプランニング技術の導入, CEDEC2016
LOST REAVERSにおけるAI Directorの試み, CEDEC2016
人工知能の未来へ -全脳アーキテクチャ、ディープラーニングを用いた人工生命、ゲームAI-, CEDEC2016
汎用ゲームAIエンジン構築の試みとゲームタイトルでの事例, 人工知能学会誌 Vol.32 No.2
《講演者からのメッセージ》
新たな遊びの実現にはゲームAI技術の向上が欠かせなくなっていますが、ゲームデザインと密接に絡んでいるゲームAIはほかの技術に比べて汎用化が難しくゲームタイトルごとに実装されることが多くなっています。そのような高コストな状況を打破するために開発しているゲームAIエンジンにおいて、ここ数年で重要度が増しているエージェントの環境認識をどのように実現したかをご紹介します。