2015年、中国コンテンツ市場は大きく変貌を遂げた。ゲーム産業の市場規模は1407億元(2兆4,499億円)と、依然として拡大が進んでいるのと同時に、中国映画市場も440億元(7661億円)と、急速な成長を遂げている。特に注目すべきは、中国国産3DCG大作『西遊記 ヒーロー・イズ・バック』が興行収益で9.5億元(165億円)を、3DCGと実写の合成による『妖怪ハンター』が23.8億元(415億円、以上すべて1元=17.4円換算)を達成し、ゲームなどと融和性の高い中国産のCG大作が軒並みヒットを連発している点だろう。これらは従来中国市場で見受けられなかった現象だ。同時にアニメ業界では中国IT大手と日本アニメスタジオによる共同製作が進む等、日中連携が進みつつある。これは日本国内で既に進んでいるクロスメディア戦略を中国でも実行できる土壌が形成されつつあることを意味する。そこで本講座では、中国コンテンツ産業研究者による産業分析をふまえつつ中国アプリ企業大手二社からクロスメディアやクロスボーダー戦略の現状を伺いつつ、日本企業の果たせる役割や展開に関わるリスクについて解説する。
講演者プロフィール
中村 彰憲
立命館大学映像学部教授。名古屋大学大学院国際開発研究科修了。博士(学術)。早稲田大学アジア太平洋研究センター、立命館大学政策科学部助教授を経て現職。主な著書に『ファミコンとその時代』(NTT出版、上村雅之氏、細井浩一氏と共著)、『なぜ人はゲームとハマるのか』(ソフトバンクパブリッシング、渡辺修二氏と共著)、『中国ゲームビジネス徹底研究』(エンターブレイン)など多数。この他にも週刊ファミ通ではマーケティングリポートの「識者の視点」、ファミ通.comの「akinakiの古今東西ゲーム見聞録」、Gamebusinessの「ゲームビジネス新潮流」などゲームビジネス全般に関するコラムを定期的に寄稿している。米国8年、中華圏通算2年半の滞在経験があり、その間、海外でのJ-Popブームを目の当たりしたことから、その経験を活かし、短期留学生向けに日本のポップカルチャーの歴史と展望に関する講座を英語で行っている。
《講演者からのメッセージ》
昨今、オンラインゲームサービス一強だった、中国エンターテインメントシーンに大きな変化が訪れています。
映画興行収益の急成長に加え、中国国産CG作品が上位にランクインするなど、中国市場はこれまで以上に
ひとつのコンテンツを複数のメディアに展開する「クロスメディア」に適した市場へと成長しました。そこで是非、本講演を通じて皆様のコンテンツを如何に中国でクロスメディア展開するか考えていただければ幸いです。
北阪 幹生
’03年単身中国上海に渡り、現地大手デベロッパーWinking社に唯一の日本人として入社。
’09年帰国し上海UltiZen社の日本事業を立ち上げる。
’11年UltiZen社がレッド・エンターテイメントを子会社し、これを期にレッド社へ転籍。
事業統括本部長として日本、中国両国の事業を担当する。
’13年中国大手パブリッシャーの崑崙(コンロン)の日本法人副社長就任。
《講演者からのメッセージ》
どこかで、聞いたこと・見たことのある中国の話しではなく、
10年以上中国企業で働いてきた実体験にもとづくお話しを共有できればと思っております。
どうぞよろしくお願い致します。
郷田 努
大手ゲームパブリッシャー、ベンチャー企業などでゲームプロデューサー、事業部長、新規事業室長などを歴任。
家庭用ゲーム開発からスマートフォンアプリ、ソーシャルゲームなど様々なデバイス、プラットフォームでヒットタイトルを創出。
ゲームからのメディアミックスなども担当し、コンテンツビジネスにおける幅広い経験を持つ。
CEDECや大学など教育機関などでの講演実績も多数。
中国企業にて日中共同開発事業を担当、コンテンツ事業のビジョン、自由闊達でオープンな企業フィロソフィーに共感し参画。
現在はフリーとして様々な企業のコンテンツビジネスに関わる。
《講演者からのメッセージ》
魅力的で肥沃なマーケットである中国市場。
しかし市場環境の変化の激しいマーケットでもあります。
その市場における今とこれからについてを実体験を通してみなさまに役立つお話をできれば幸いです。
様々なリスクもありますが、それに見合ったリターンも期待できるチャレンジャー向けのお話をしたいと思います(笑)