スマートフォンの国産ネイティブゲームにおける主流のゲームサイクル(キャラクターコレクションを中心に置き、イベント投下型の運営が行われるタイトル)において、あらかじめ用意されていたゲーム性と物語性は、運営における拡張の過程で、徐々にその価値を摩耗していくことが宿命づけられています。本セッションでは、チェインクロニクルでも用いた「ゲーム性と物語性の摩耗を初期設計によっていかにして防ぐか」という手法について解説し、チェインクロニクルの初期開発および3年におよぶ運用における事例を交えつつ、汎用的な基礎設計指針を提示していきます。
講演者プロフィール
松永 純
2002年にSEGAに入社。アーケードゲーム市場にて「三国志大戦」シリーズ、「戦国大戦」シリーズの企画原案、メインゲームデザイン、ディレクションを務める。
その後、モバイルゲーム市場で本格RPGジャンルの草分けとなる「チェインクロニクル」をリリース。このタイトルでは、企画原案、ゲームデザイン、ディレクションに加えて、キャラクター・世界観設定、シナリオ制作を担当。
現在はSEGAグループの開発会社であるセガ・インタラクティブ第一研究開発本部にて、同タイトルの運営開発を行うとともに、プレイングマネージャーとして各モバイルタイトルの総合ディレクションに従事している。
《講演者からのメッセージ》
スマートフォンでネイティブゲームと呼ばれるものが作られはじめて、はや数年が経ちました。
家庭用ゲーム機であれば、ハード的にやれることがすべてやりつくされていてもおかしくない時間ですが
まだまだスマホにはやれることがあるし、もっともっと面白いものが、いくらでも作れる状況が続いています。
とはいえ、そういう状況が続いている理由は、スマホゲーム特有の、いわゆるガチャやイベントといった運営をともなうゲームサイクルが、ゲームとしての表現の可能性を制限しているから、という一面も大きいです。
本講義では、そうしたゲームサイクルに則りつつ、どうすればスマホのゲームサイクルの悪い面を出さずに、ゲームを作りきれるのかという話ができればと思っています。
そして、スマホでもっともっと面白いゲームを作りたい!という方の何かしらの一助となれればと思いますし
ひとりでも、もっと面白いゲームを作りたいという方が増えるきっかけになれればと願っています。