VRという言葉が生まれたのは1989年なので、平成と同じ歴史があります。この言葉が世に出た当初、中心的に研究された技術がHMDでした。それを出発点に人の五感に情報提示するための様々な手法が研究されてきました。今年はHMDの新たな製品が各社からこぞって発売されることから、VRが改めて注目されるようになりました。映像が高度にインタラクティブになってくると、触覚などの視覚以外の感覚の必要性が増してきます。それらの感覚情報をどうやって生成するかを紹介します。そして、VRが人をどのように強化するか、という課題に対して、アートという観点からこの技術の進むべき方向性を考察します。
講演者プロフィール
岩田 洋夫
1986年 東京大学大学院工学系研究科修了(工学博士)、同年筑波大学構造工学系助手。現在筑波大学システム情報系教授。バーチャルリアリティ、特にハプティックインタフェース、ロコモーションインタフェース、没入ディスプレイの研究に従事。SIGGRAPHのEmerging Technologiesに1994年より14年間続けて入選。Prix Ars Electronica 1996と2001においてインタラクティブアート部門honorary mentions受賞。2001年 文化庁メディア芸術祭優秀賞受賞。2011年 文部科学大臣表彰 科学技術書 受賞。2016年より、日本バーチャルリアリティ学会会長
《講演者からのメッセージ》
今年はHMDの新たな製品が各社からこぞって発売されることから、VR元年とも言われています。しかし、VRという言葉が生まれたのは1989年のことであり、平成と同じ歴史があります。この講演では平成という時代に私がVRをどう研究してきたかを紹介します。そして、工学者の私がなぜ芸術活動をやってきたかに触れつつ、VRがこれからどう発展するかについてビジョンを示したいと思います。