クロノス・グループが2016年2月に発表した、先進のGPUへのアクセスを可能とする次世代の新API「Vulkan™」は、デベロッパに新しいクラスのゲーム開発と、より高度なバーチャル・リアリティ環境の制作を可能とします。どなたでも無料でダウンロード入手できるライセンスフリーなVulkan APIは、従来のOpenGL®やDirect3Dと比較して、レイテンシーを抑え、最適なグラフィックスやコンピュート性能のオーバーヘッドを最小限にし、洗練されたゲーム・エンジンや、ミドルウェア及びアプリケーションが要求する、直接的なGPU管理を提供します。
このセッションでは、クロノス・グループの代表をはじめ同グループの会員企業が、Vulkanの開発背景やその機能紹介を行うほか、PCからモバイルに至るさまざまなプラットフォーム上で高性能かつ低レイテンシーなゲーム開発を行うための、Vulkan活用法を解説します。
講演者プロフィール
ニール・トレベット
ニール・トレベットは2001年のクロノス・グループ設立時から現在まで代表を務めているほか、NVIDIA社モバイル・エコシステム担当バイス・プレジデントとしての重責も担っています。NVIDIA社入社以前、トレベットは3DLabs社でシニア・バイス・プレジデント、それ以前はbenchMark Technologies社でグラフィックス・システム開発責任者を務めていました。クロノス・グループへの参画以前は、Web3Dコンソーシアムの代表も務めていました。トレベットは、英バーミンガム大学から電子工学及びコンピュータ・サイエンスの学士号を取得しています。
《講演者からのメッセージ》
Vulkan APIはハードウェア、ゲーム・エンジン並びにプラットフォーム・ベンダを含む、業界を代表するクロノス会員企業各社の多大な貢献のもとで、ゼロから仕様策定作業が行なわれました。
18ヵ月に及ぶ共同作業の結果、2016年2月にバージョン1.0が発表されたVulkanは、OpenGLやOpenGL ES 3D APIを補完する位置づけであり、急速に進化するハードウェアのパフォーマンスを最大限活用すると共に、デベロッパの開発負担を軽減するために、さまざまな工夫がなされています。
セッションではゲーム開発に携わる皆さまに、Vulkan開発の背景からその機能・特長をご紹介すると共に、OpenGLやOpneGL ESとの位置づけをご説明します。また、サムソンならびにディジタルメディアプロフェッショナルのクロノス会員企業2社が、Vulkanの技術解説を行なう予定です。ぜひご期待ください。
大渕栄作
大学院卒業後、大手半導体ベンダに入社し、携帯電話向けのアプリケーションプロセッサ・画像処理技術開発に従事。
2005年(株)ディジタルメディアプロフェッショナル入社後、3Dグラフィクスハードウェア開発に参画し、PICA、SMAPH
IPコアシリーズやSoC製品を開発。
また、Khronosグループにて、各ワーキンググループへの参加と共にOpenVGワーキンググループ議長としても活動。
《講演者からのメッセージ》
クロノス代表のニール・トレベットのプレゼンテーションを補足する形で、VulkanはじめOpenGL/OpenGL ES
APIの最新動向についてご紹介いたします。
また、講師自身、KhronosのVulkan, OpenGL, OpenGL
ESなどのワーキング・グループに参加しており、仕様決定作業から公開に至るまでの、現場の生の雰囲気や声をご紹介したいと考えています。
キム・ジョンウ
大学でGPUハードウェア・アーキテクチャとメモリ・サブシステム・デザインを専攻後、サムソン電子に入社し、14年間ハードウェア/ソフトウェア・エンジニアとして勤務。サムソン・リサーチ・センターで数多くの先進ビデオ/イメージ・コーデック・ハードウェアIPの設計に携わった後、2012年にモバイル製品事業部に異動し、数多くの民生モバイル製品プロジェクトに参画。現在、Galaxy全製品向けGPUドライバ及びパフォーマンス分野、ならびにGameDev技術サポート部門の責任者を務めている。
《講演者からのメッセージ》
Samsungは高性能かつ最先端技術の開発を可能とする、オープンな業界標準策定を支援するため、クロノスの活動に積極的に参加しています。
この度、私たちを含むクロノス会員企業の活動の成果が、プラットフォームに依存しないゲーム開発エコシステム拡張を支援するVulkan 1.0として発表されたことを、大変うれしく思っています。
モバイル・ゲームに、より活き活きとした直感的なユーザ体験をもたらすことができるVulkanについて、皆さまにご紹介できることを楽しみにしております。