バーチャルリアリティへの注目が日々高まっている昨今、一方でヘッドマウントディスプレイの装着には年齢制限が推奨されており、子供のための大規模バーチャルリアリティコンテンツ開発に関しては課題が多く存在します。
本講演は、遊具とデジタル技術をミックスすることに着目し”ショッピングセンターで海遊び”をコンセプトに「屋内砂浜 海の子」を企画・開発・運営した経験を元に、ゲームデザインの観点から、視覚だけでなく素足や手から「ひんやりした砂」を感じることによる砂浜を呼び起す触覚への刺激、バンダイナムコスタジオが新たに開発したインタラクティブサラウンドシステムによる潮の満ち引きや潮だまりを踏むと波紋が広がり、水しぶきの音がその場所からリアルに聴こえることによる海を呼び起す聴覚への刺激が、全身で感じるリアリティの獲得にいかに貢献できたか等、コンテンツ特有の事例紹介にとどまらず、大規模バーチャルリアリティコンテンツ開発全般にとって有用な知見を豊富にご紹介します。
講演者プロフィール
本山 博文
株式会社セガにてデバッガーとして1994年にキャリアをスタートし、1999年にUBISOFT日本・上海にてコンテントマネージャーを経て株式会社ナムコに2003年入社。株式会社バンダイナムコゲームスを経て2012年より現職。
主に手がけた製品は「F1 Racing Championship」「Rayman」「Tom Clancy's」「アーバンレイン」「パンダさん日記」等。最近では2014年にカナダ・バンクーバーにて学生とのコラボレーションに参画し、2015年にアーケード製品「リアルドライブ」「屋内砂浜 海の子」をリリース。
CEDECでは2009年「ワールドワイドタイトルのゲームデザイン」、2014年「バンダイナムコスタジオバンクーバー:学生プロジェクトから生まれた北米市場向けコンテンツと産学協同事例紹介」があります。
《講演者からのメッセージ》
バンダイナムコスタジオの新たな挑戦として、「屋内砂浜 海の子」を企画開発、2015年10月にはららぽーと海老名にてオープンしました。2016年には株式会社ナムコのアミューズメント施設において全国展開が始まり、そして海外に広がろうとしております。
子供のための大規模バーチャルリアリティコンテンツに関しては課題が多く存在しますが、本セッションを通して「屋内砂浜海の子」の企画・開発・運営を通して得た知見を、受講者の皆様と広く共有させていただき、新たな機会創出につながることを期待しています。