本発表では,両足を動かすことによる歩行運動感を高く維持したまま,座位姿勢での歩行感覚提示インタフェースを提案する.典型的なロコモーションインタフェースは,立位姿勢で可動床や滑走面上で実際に歩行動作をする形式である.このような形式のロコモーションインタフェースでは,実利用上,安全面の配慮が必要であり,設置場所の制約もある.本研究では,椅子型デバイスVirtual-ISU(バーチャルいす)を開発し,座った状態で,楽に安全に,バーチャル空間内の歩行を実現する.Virtual-ISUの座面に圧力センサを配置し,両足大腿部の上下運動と体幹の重心移動を検出することにより,方向や速度などの歩行状態を推定する.足に装置を装着したり,床にセンサ類を配置したりする必要もなく,子供からお年寄りまで,家庭でも安全かつロバストに使用することが可能である.
講演者プロフィール
大島 登志一
1991年 筑波大学大学院工学研究科電子情報工学系博士課程修了(工学博士).同年キヤノン(株) 情報システム研究所にてバーチャルリアリティ(VR)の研究に従事.1997年 (株)エム・アール・システム研究所に出向,基盤技術研究促進センターの出資事業「複合現実感システムに関する試験研究」に従事.2001年よりキヤノン(株) MRシステム開発センターMRシステム第一開発室室長として複合現実感(MR)システムの研究開発に従事,2006年に立命館大学情報理工学部教授に着任.2007年より同大学映像学部教授,現職.VRとMRの映像創作への活用に関する研究に取り組んでいる.
《講演者からのメッセージ》
立位姿勢のロコモーションインタフェースデバイスは話題にもなっていますが,よりコンパクトで安心感があり,かつ程良い疲労感を伴うそこそこの歩行感覚の実現を目指したのが本研究です.フランスのLaval Virtual 2016にてデモ展示を実施,多様な体格のユーザにテストしてもらい,良好な評価を得ました.皆様にもぜひ体験していただいて,ディスカッションの機会が得られることを楽しみにしています.
北野 貴士
立命館大学映像学部大島研究室所属。
「バーチャルリアリティ」や「ミクストリアリティ」に代表される先進的なインタラクティブ技術を活用して、新しい映像体験を創出する研究を行っています。
過去にエンターテイメント・コンピューティング2015とインタラクション2016の講演で展示発表の経験があります。
《講演者からのメッセージ》
座位姿勢で体験できる、従来のモノとは異なったロコモーションインタフェースです。
是非、体験しに来てください。
柴田 龍輝
立命館大学映像学部09ゼミ, 大島研究室所属.
過去バーチャルリアリティ(VR), ミクストリアリティ(MR)をテーマとした研究結果をエンターテイメント・コンピューティング2015, インタラクション2016, Laval Virtual 2016にて出展.
VRやMRを用いた新たな映像表現を追いながら, 広く遊びのメカニズムに対する研究を行っている.
《講演者からのメッセージ》
従来の大掛かりなロコモーションインタフェースとは異なり, 本研究では持ち運び可能な座位姿勢型のロコモーションインタフェースを提案いたします. ぜひお試しください.
枝元 蛍
立命館大学映像学部大島研究室所属
今年の春フランスで開催されたLavalVirtual2016 ReVolutionで本作品の展示と評価実験を行いました。
実験結果を踏まえてシステムの改良を行いたいと思います。
《講演者からのメッセージ》
ぜひロコモーションインターフェースでのバーチャル空間の歩行を体験してみてください。