ゲームをプレイする環境の中で、オーディオ再生システムは様々です。
シアターセット、テレビスピーカー、小型スピーカー、ヘッドフォンなどの再生機器に対して、ユーザーのゲーム体験をより高めるために、我々オーディオクリエイターがアプローチできることは、まだまだ残されていると考えています。
このセッションでは、ゲームに必要なリファレンスレベルをもう一度整理し、カプコンの基準を説明することから始めます。そして、こうした取り組みがミキシングに及ぼす影響を解説します。
続いて、カプコンで行っている、動的なダイナミックレンジコントロールについて解説し、「より良いオーディオ体験」をユーザーに届けるためにできることとは何か、というテーマで提言を行います。
講演者プロフィール
瀧本 和也
1992年、東京のポスプロスタジオ業務に就き、放送、映画等のミキシングを経験後、1997年にカプコンに入社。
入社後はバイオシリーズ、モンスターハンターシリーズ等、カプコンのほぼ総てのタイトルに関わり、カットシーンのミキシング、楽曲のレコーディング、ミキシング等を担当。また、ゲーム音響制作現場のシグナルリファレンス策定や、現場環境の整備、ゲームの発音に関するミキシングの視点からのアイデアを制作者と議論し、クオリティアップの下支えを行っている。
・AES-UK 35th International Conference Audio for Games / Techniques for building virtual worlds
・AES-Tokyo 40th International AES Conference / Spatial Audio
・CEDEC2012 / 適切な音量について考える~ゲームオーディオのラウドネス基準はどうあるべきか?~
・CEDEC2013 / ゲームオーディオのダイナミックレンジ表現はコントロール可能か 〜ラウドネスメーターを使った実践と提言〜
・CEDEC2014/インタラクティブミックスによって生まれる次世代のオーディオ表現とは
その他多数
《講演者からのメッセージ》
これまで、リファレンスや音のスケール、インタラクティブミキシングの可能性などを主題にディスカッションを続けてきました。
業界各社のクリエイターの皆さまとの意見交換などから辿りついた「インタラクティブなオーディオミキシング」。今回は「ダイナミックレンジコントロール」をテーマに、具体的なオーディオエンジン上でのパラメーター操作を含めてお話したいと思います。
なぜシグナルリファレンスが大切なのか、ラウドネス計測がダイナミックレンジコントロールに対して、どのような役割を持つのか。実際に音を聴きながら、その違いを感じていただければ幸いです。