政治や軍事の領域で利活用されるシリアスゲームこと「ウォーゲーミング」(別称「兵棋演習」「モデリング&シミュレーション」)は、アメリカを始めとする NATO諸国、イラン、オーストラリア等で活発な動きを示しているだけでなく、民間のゲーム企業も開発に参与し、大きな利益を上げている。これまで軍事機密のベールの内側における出来事だと思われていた政府のシリアスゲーム利用は、今や公然とビジネスの表舞台に踊り出、エンターテイメントを含むゲーム市場を着々と拡大させつつある。本報告は、ウォーゲーミングに関する最新情報を、経産省メディアコンテンツ課を始めとする国内外の関係者へのインタビュー結果を踏まえ、今後のB to B的シリアスゲーム開発の先端課題が何であるかを明らかにする。
講演者プロフィール
高橋志行
一橋大学社会学研究科博士後期課程在籍(理論社会学、相互行為論)。日本デジタルゲーム学会所属。2011年夏期より、株式会社遊帆堂非常勤コンサルティング(Alternative Reality Gamesの企画提案・シナリオ設計)。
蔵原大
蔵原大(くらはらだい, Dai Kurahara)
1972年生まれ。近現代メディア研究者(ウォーゲーミング、Modeling & Simulation)。所属学会:日本アーカイブズ学会、戦略研究学会、DiGRA Japanほか。論文:「戦略学「教育」の新潮流――「紛争シミュレーション教育」の理論・実践・政治的利用に関する考察」『戦略研究』(9号、 2011、芙蓉書房)、「アジア歴史資料センターにおける情報提供の実際と展望」『北の丸』(40号、2007、国立公文書館)(相原佳之、石田徹、中村 元、黒木信頼、牧野元紀ほか共筆)等。2012年現在、世界史研究会運営委員( http://www.geocities.jp/world_history_research/ )。
《講師からのメッセージ》
皆様へ
今回わたしたちは、産業・教育・福祉などにおけるシリアスゲームだけでなく、オルタナティヴなゲーム開発の市場として「シリアスゲームとしての軍事シミュレーション(モデリング&シミュレーション、ウォーゲーム)」産業の実態を、またあわせて今後の「B to B」的シリアスゲーム開発の先端課題と可能性とを解説いたします。
さらに講演に先だって、経産省メディアコンテンツ課を始めとする関係者の方々にインタビューを行っております。そうした知見を踏まえまして、これからのシリアスゲーム市場にプレイヤーとして参入される方々のお役に立てそうな情報に言及する予定です。
もともとはチェスを遠い祖先とするこの分野が、21世紀の今どれほど進捗したのか、ご存知の方にもそうでない方にもお愉しみいただけると思います。
それでは8月にお会いしたく思います。
★ご参加にあたって★
政治・軍事(とくにウォーゲームの背景)についてご関心のある方であれば、よりすんなりご理解できるかと考えております。