『九州大学のオランダゲーム国際産学官連携の活動報告
~産学官連携を起点としたゲームイノベーションの可能性~』
●福岡とオランダとの産学官連携ネットワークの連結
九州大学知的財産本部は、地元福岡でゲームの産学官連携を後押しする一方、2007年以降オランダのゲーム研究開発に関連する企業、大学、行政機関と連携・交流を深めている。2008年9月、ユトレヒト芸術大学アート・メディア&テクノロジー学部と本学芸術工学研究院とが学術交流協定締結。同時にオランダの3地域(ユトレヒト、レーワルデン、アムステルダム)と連携を拡大展開している。
●なぜオランダ?「ヨーロッパ産学官連携=オランダ」
オランダは欧州ゲーム開発地域で「産学官連携」が随一。国策として数十億規模の補助金を背景に、クリエイティブ産業ゲームを後押し。知識基盤の大学を拠点に、人材育成、産学連携、中小企業支援、ベンチャー育成など「イノベーション土壌としてのゲームコミュニティ」をつくっていること。娯楽ゲームに限定せず、ゲーム技術やデザイン手法を異分野・異業界に適用させるゲーム領域拡大を目指している。
●オランダのゲーム開発の特色「クリエイティブ産業=ゲーム」
オランダのゲーム関連企業(約80社)の特色は、世界的に有名な大企業がなく、むしろ小企業集団。シリアスゲームなど応用的なゲーム分野が制作の約6割を占め、教育や健康といった異業種、異分野との横断的なつながりを前提としたオープンな構図がみえる。ここには産学官の連鎖を生む一連の活動が、地域イメージを向上させ、新たな企業誘致や投資の吸引力となっている。
●九州大学はオランダとのヘルスケアゲーム開発コンソーシアム開始
九州大学は、日本型の産学官連携を起点としたゲームイノベーションを模索している。ゲームを知的集合体としての研究分野に位置づけ、学術的にゲームの潜在性を引き出す。今年から九州大学は、オランダ・レーワルデン地域の大学、ゲーム企業、ヘルスケアセンターと協同し、医学分野へのゲーム適用に取り組む。本学は、ゲームの効能や効果を科学的に検証し、一般社会に提示する役割があると考える。
講演者プロフィール
末次 宏成
2008年より現職にて、九州大学を拠点に地元福岡または国際でのゲームに関連する産学官連携推進業務に従事
2005年 九州大学芸術工学府 博士後期課程修了(芸術工学博士)
2005年~2008年 九州大学芸術工学研究院 21世紀COE学術研究員
2008年~現在 九州大学知的財産本部 国際産学官連携センター