立体視に触感・手ごたえを与える非ベース型錯触力覚インタフェースの可能性

タグ:
日時:
2010年08月31日(火)〜2010年09月02日(木)
形式: ポスター発表
受講スキル:
新しいインタフェース、ゲームコントローラに興味のある方。立体視ゲームの開発に携わる方。 モーションセンサー、モーションコントローラの開発に携わる方。
受講者が得られるであろう知見:
非ベース型触力覚インタフェースが立体視3Dゲームに与える効果。 バイブでは表現できない触感・手ごたえを表現できる錯覚型触力覚インタフェースの機能。
セッションの内容

従来の力覚フィードバックとして、接地型のジョイスティック、ハンドル等が積極的に利用されてきたが、現在主流である身体を動かす体感型ゲームには適していない。しかし、ワイヤやアームで力を提示する方法では、人間の動きが拘束・制限されるなどの問題点があった。そこで、本発表では、ジャイロを用いたり、人間の錯覚・感覚特性を巧みに利用することにより、ワイヤで吊ったりアームで支えるベースを必要としない非ベース型の力覚インタフェースを開発したのでこれについて説明およびデモを行う。
ジャイロキューブは、ジャイロ効果を利用したり、X・Y・Z軸座標に配置された三つの回転体(フライホイール)の回転速度を加速・減速して回転反力を得ることで、任意の方向の回転力を感じさせる。回転体の角運動量ベクトルの時間微分がトルクであるために、一定方向にトルクを発生し続けるためには、モータの回転数を連続して加速し続ける必要があり、トルクを一定方向に連続的に提示するのに適さず、また、大きなトルクには重い大きなフライホイールが必要となる問題点があった。
これに対して、振動モータを用いたジャイロキューブセンサスは、人間の錯覚を利用することで、非ベース型でありながらも連続的に知覚させることができる。また、ジャイロなどの物理的な力では実現できないレベルでの小型化(10g)も実現した。その結果、掌の上でジャイロキューブセンサスが重くなったり、軽くなったり、ついには、浮き上がる感じさえも実現できる。(振動モータを連続で回転させた場合、並進力成分は物理的には相殺されてしまい、一定方向に力を連続的に発生することは不可能であるにも関わらず。)
従来の釣りゲームでは、「魚の当たり」を振動で提示していた。これに対して、ジャイロキューブセンサスを用いることでバーチャル空間の物体の存在や動きを反力で表現できるため、魚の動き、大きさ、種類の違いまで表現することが可能になる。体感型ゲームに人気があるように、全身を動かしたり身振り手振りなどの動作による情報入力は人にとって自然な方法である。ジャイロキューブセンサスは非ベース型であるため、これら体を動かしながらの力覚提示や立体映像に触れた触感や手ごたえを与えるのに適している。

※8月25日プレスリリース「触れる立体テレビを実現するシステムを開発」
http://www.aist.go.jp/aist_j/press_release/pr2010/pr20100825/pr20100825.html


講演資料

  • C10_P0203.pdf

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講演者プロフィール

中村 則雄

中村 則雄
所属 : 産業技術総合研究所
役職 : ヒューマンライフテクノロジー研究部門 主任研究員

1990年筑波大学大学院理工学研究科修了.同年日本電信電話株式会社.1994年筑波大学大学院工学研究科修了.1995年通商産業省工業技術院生命工学工業技術研究所研究官.2000年主任研究官.2001年改組に伴い,(独)産業技術総合研究所人間福祉医工学研究部門主任研究員,2010年同所ヒューマンライフテクノロジー研究部門主任研究員,現在に至る.聴覚心理,触力感覚提示,人工現実感,行動支援モバイル・ユビキタス機器等に関する研究・開発に従事.博士(工学).