Imagine! The Stereoscopic 3D Games!! ~ゲームデザインから立体視を考えよう

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日時:
2010年09月02日(木)16時30分〜17時30分
形式: セッション(60分)
受講スキル:
・ 立体視映画の視聴経験あるいは立体視ゲームのプレイ経験。 ・ スプライト系のゲームと、ポリゴンゲームの違いが分かること。
受講者が得られるであろう知見:
・立体視を実現する代表的な技術の概要 ・ゲームデザイン、プラットフォーム、立体視方式の3者間の相性と、組み合わせの指針
セッションの内容

【概要】 かつての立体視コンテンツは、表示技術の実用的な選択肢が限られていたことから、その技術に合わせて作られてきた感がありました。また、ゲーム機の種類がまだ少なかった時代には、画面の大きさや解像度といった「プラットフォーム」とゲームデザインの関係にも同じことが言えました。 が、現在では、表示方式もプラットフォームも数多く存在し、ゲームデザインに合わせたものを選択できるようになってきています。多くの選択が可能になった現在においては、まずゲームデザインから考え、それに適したプラットフォームと立体視表示方式を組み合わせていくことが、重要になると思われます。 本セッションでは、10年以上立体視の研究・試作を続けてきた講演者の経験から、「ゲームデザイン」「プラットフォーム」「立体視表示方式」の3つを軸に、それらの好適な組み合わせの提案を行います。立体視表示方式については、過去にバンダイナムコゲームス(2006年以前のナムコ時代も含む)において製品化または試作されたゲームを例に解説を行い、それらの一部については、展示デモも行う予定です。 ◆立体視表示方式について 立体視という観点のみにとらわれていると、とかく「メガネ式か裸眼式か」といった、「表示方式」に注目しがちです。が、どの方式にも長所・短所がありますので、まずはそれを知ることが必要です。そこで、バンダイナムコゲームスにおいて製品化あるいは試作された立体視ゲームを例として、各種表示方式(2眼式、多眼式、空間像方式、等)について、見え方の特徴や描画方法の解説を行います。 ◆ゲームデザインとプラットフォームについて ゲームデザインについては、「トップビュー」「サイドビュー」「フロントビュー」「俯瞰視点」といった言葉で示される、プレイヤーとオブジェクトの位置関係を基準にした分類を行い、それらから、適したプラットフォームと立体視表示方式を導きます。 また、プラットフォームについては、「垂直置き画面」「水平置き画面」といった画面の置き方について、ゲームデザインに適したものを選んだ上で、「画面の大きさ」「描画解像度」といった要素から、適した立体視表示方式を導いていきます。 ◆立体視ゲームの表現において解決すべき課題と可能性について ゲームに限らず、立体視コンテンツの表示にあたっては、クロストーク(消え残り)や立体的な違和感をなくすといった、解決しておかなければならない課題がいくつかあります。それらをクリアしたときにはじめて、従来のゲームでは得られない、新しい体験の可能性が開けます。その可能性について、これまでの経験から分かってきたものについて説明します。立体視ゲームにはまだまだ潜在的な可能性が多く、実際に開発していく中で、新しいアイデアがどんどん生まれてくるかと思いますが、そのヒントとなれば幸いです。


講演資料

  • C10_P0095.pdf
  • C10_P0095_movie.zip

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講演者プロフィール

石井 源久

石井 源久
所属 : 株式会社バンダイナムコゲームス
役職 : 第1スタジオ 技術サウンドディビジョン 技術部 開発サポート課 プログラマ

1999年、京都大学大学院 人間・環境学研究科 博士後期課程修了。
同年、(株)ナムコ(現・(株)バンダイナムコゲームス)入社。立体視ディスプレイの基礎研究に携わり、2004年、フラットパネルディスプレイとレンチキュラレンズの汎用的な組み合わせを可能とした裸眼立体視方式である「フラクショナル・ビュー方式」を開発。2006年から、(立体視に限らない)内製ミドルウェア開発等を経て、現在は立体視コンテンツの開発サポートに従事。博士(人間・環境学)。
《講師からのメッセージ》

はじめてCEDECの講演に関わったのは、2000年の「ナムコが目指す今後のケータイゲームのあり方」の一部で、小型裸眼立体視ディスプレイ(5眼、レンチキュラ式)の展示スタッフとしてでした。当時は、その方式に合わせて、ミニゲームや技術の開発を行っていましたが、今は、どの立体視の方式を使うか、迷うぐらい選択肢がある時代となりました。特定の方式にこだわらず、ゲームデザインに適した方式を選んでいくことは、今後の業界の発展に不可欠と考えます。また、立体視の可能性としては、ゲームデザインのほか、ビジュアル・アーツ分野にも少しだけ踏み込みたいと思います。