開発の早い段階でMMOGデータベースがどのようにスケールするかを知っておく事は重要です。というのも、開発中の度重なるシナリオの変更で、気がついたらボトルネックになっているという事が少なくないからです。一旦こういう状態になってしまうと、解消するのが非常に困難になるのは、おそらくみなさんがご経験されている通りです。そこで今回私たちは、テストハードウェアを使用して実際の負荷とスケーラビリティが予測できるような、MMOGデータベースのシミュレーション法を提案します。
まず、「ユーザー/分」のような指標をいくつか導入し、あるシナリオがどう機能するか把握できるようにします。さらに、データモデルの操作を柔軟にするために、多様なロックやアロケーター、永続化手法に対応できるSmart Pointerを用意しました。そしてこれらを使って様々なシナリオでテストを行い、それらの結果を元にシミュレーション法の実用性を検証します。
講演者プロフィール
佐藤 剛宣
2005年 組み込み用オブジェクトデータベースdb4oを提供する米db4objects社の日本市場担当となる
2007年 国内自動車メーカーと共同研究した次世代カーナビの成果をカリフォルニアで開催されたJavaOne2007で発表
2009年 Versant社によるdb4o買収に伴い、VersantのEvangelistとなる
2010年 現在の課題は、組み込みで培った経験を元に、CPUキャッシュ効率を最適化するという観点からオブジェクトデータベースを再構築すること
《講師からのメッセージ》
新しい技術を追いかけるのに疲れたら、気分転換にお越し下さい。ハードから眺めてみると、根本的な構成というのはちょっとずつしか変化していないので、ゆっくり腰を据えて考える事ができます。最近で言うと、ハイエンドのCPUにメモリが直結されるようになりましたね。これはマルチコア化に対応する非常に大きな変化ですが、この背後にはどういう事実があるのか、どう活用しようか、そんなことを将来に向かって一緒に考えてみませんか?
Derek Laufenberg
Versantでは主にオンラインゲームに対する戦略や機能設計を担当。20年以上にわたるソフトウェア開発の経験には、フライトコントロール、リアルタイムエアクラフトシミュレーション、電力システムや医療イメージソリューションなど幅広い分野を含む。また、MITからBSとMSを取得している。
Robert Greene
Versantではオブジェクトデータベースの全般的な戦略や方向性の決定を担当。過去15年にわたるオブジェクト指向ソリューションの経験により、主に生物情報科学や防衛、金融、物流における複雑な分散システムの開発をサポート。また、現在はオープンソースのオペレーション全般も担当している。