魅力あるカメラの動きやレンズに関わるエフェクトを実現するために知っておくと良いと思われる情報を紹介します。これまでにもレンズに関わるセッションは何回か行いましたので、まだあまり話題に出ていないものや、一般に常識とされていても実際には誤解されていることが多いと思われる概念の正しい捕らえ方などを紹介します。 一般に、ゲームやリアルタイムデモなどで魅力あるカメラを演出しようとすると、まず光学の書籍やWEB上の情報から知識を得て、それに基づいてさまざまな光学現象を実装したりカメラワークを表現することになります。しかし、このような方法でカメラを作ってみても、なかなか現実のカメラ/レンズの動作をリアルに再現することができません。現実のカメラは得てして教科書には載っていない挙動を示します。そして、理論値から外れたそのような得体の知れない挙動が、実は現実のカメラの絶妙なリアリティにつながっていることもあります。 また、書籍やWEBに載っている情報は、説明不足や近似計算のためにそれ自身が矛盾をはらんでいることもあります。カメラを実装するにあたって、そのような矛盾から「何を基準に計算すれば正しい解を得られるのか判らない」などといったこともよく起こります。 講師のこれまでの経験から、光学現象の表現にあたってエンジニアやアーティストが陥りやすい問題や、より魅力的なカメラを作るためのノウハウをお伝えします。
講演者プロフィール
川瀬 正樹
「ダブル・スティール」シリーズのグラフィクスエンジンを開発。擬似(Fake)HDR/グレアフィルタなどのシェーダ技法を考案。現在は「シリコンスタジオ株式会社」にて研究開発に従事している。CEDEC/GDCなど技術講演多数。CEDEC AWARD 2009 プログラミング・開発環境部門ノミネート。