本講演では「学園アイドルマスター」のコミュ制作を紹介します。
「初星コミュ」というコミュは「アニメを視聴するかのような体験」を目指して制作を行いました。これをどのように実現したのか、重視した点や苦労した点など、実制作からディレクションに至るまで、詳細を紹介します。
また、コミュはリリース時点で800話以上というボリュームがありました。したがって、効率的に、一定の品質を保ち、事故を防止するようなレギュレーション・システムが求められました。
具体的なワークフローや体制を含め、どのようにこの課題に向き合って制作を行ったのか、独自のUnity上で動作する制作ツールも絡めて紹介します。
講演者プロフィール
宇野 雅視

企画職としてモバイルゲームの新規開発・運用に携わったのち、2023年に株式会社QualiArtsへ中途入社。
「学園アイドルマスター」では、ストーリーモード(コミュ)の制作進行や
縦画面コミュ全般のクオリティチェック・スクリプトチームの管理を担当。
《講演者からのメッセージ》
「学園アイドルマスター」では、プロデュース追加やアイドル実装に伴う更新のほか、
ガシャやイベント・誕生日など様々な施策でアイドルたちの物語を垣間見ることができます。
本セッションでは、日々実装される膨大なコミュを限られた時間で制作するため、
どのような体制やレギュレーションのもと対応しているかをお伝えいたします。
運用タイトルの一例として、日々ストーリー演出や管理に携わる皆様のご参考になれば幸いです。
杉村 貴之

2006年より3Dデザイナーとしてゲーム制作に従事。
2024年リリース「学園アイドルマスター」では
キャラクターモデル・背景モデルの制作ディレクション、
および、ストーリーモード(初星コミュ)の映像演出ディレクションを担当させていただきました。
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過去CEDEC登壇
2024年:「神は細部に宿る!「学園アイドルマスター」のこだわり抜いた3Dキャラクター・背景制作」
2021年:「「IDOLY PRIDE」の3D美少女キャラクターを魅力的かつ効率的に制作する手法」
《講演者からのメッセージ》
「学園アイドルマスター」のコミュパート表現は、
量産目線でのレギュレーションも敷き、効率化を図りつつも、
プロデューサーとして、アイドルの間で強まる絆、成長を間近に体感できるよう、
細部に気を配って制作しております。
なかでも、「初星コミュ」においては、他の縦画面のシンプルなコミュと異なり、
横画面の、映像的なパートとなっており、
「学園アイドルマスター」全体の世界観や舞台の理解、
そしてアイドルたちとプロデューサーとのふれあいや日々の生活に
触れられるストーリーとなっております。
タップ待ちもなく、読むための労力も極力なくして、より一層、
アニメ映像を観る感覚、テンポを意識しました。
そして何より、原作脚本の面白さをスポイルせず、最大限表現すること、に気を配りました。
また同時に、月平均5本の話数を量産・提供するために、
一点モノのカットシーン制作のような
DCCツールやシーン固有のモーションキャプチャは使わず、
Unity上で動作するインハウスツールにて、汎用モーションの流用・組み合わせと、簡易カメラ機能を駆使し、
また、それらの制限をなるべく感じさせないような映像表現を心がけました。
モバイル3Dゲームのストーリー表現の運用として、
量産性の担保と一定の品質のバランスを取ったひとつの事例としてご参考になれば幸いです。
山城 悠太郎

2011年に株式会社サイバーエージェントに入社後、フロントエンジニアとしてブラウザゲームタイトルの開発に従事。
現在は株式会社QualiArtsにて複数のモバイルゲーム開発に携わり、主にストーリー再生周りの開発やツールの作成などを行っている。
《講演者からのメッセージ》
本作のコミュ制作において、品質と効率を両立させるために実施したシステム側の工夫についてご紹介します。
本セッションの内容が、皆様の開発の一助となれば幸いです。