あらゆるものがネットワークでつながる現代は、ひとつの機器やサービスに関わるステークホルダーが格段に増えています。そして人々の価値観も多様化しています。このように作り手側の体制も、解くべき課題も複雑になったいま、従来の縦割り・自前文化を脱却し、社内外の各部門が協力して顧客とともに新しい価値を創出する共創型ビジネスの必要性が叫ばれています。東芝のデザインは、このような時代に合わせたデザイン手法の研究を進め、『人を想うことからはじまる「うれしさの循環®」』という理念のもとに東芝版のデザイン思考を形式知化しました。本セッションでは社会インフラ事業を扱う東芝のデザインの考え方や方法をご紹介します。そしてユーザーやステークホルダーとの接点づくりを担うUIデザインにフォーカスを当てて、具体的なデザイナーの活動やデザイン事例もご紹介します。業界が違っても変わらないこと、業界が違えば異なること。それらを知ることで双方の視野を広げ、業界の進発展につながるようなセッションにしたいと思っています。みなさんとの「エンカウント」を楽しみにしています。
講演者プロフィール
井戸 健二
千葉大学工学部工業意匠学科(現デザイン学科)でデザインと人間工学を学び株式会社東芝に入社。デザイン部門にて30年近くにわたり、多くの製品・システム・サービスのデザインに従事。人間工学の専門性を活かして、ユーザー調査の設計と実施、UXコンセプトの策定、ヒューマンインターフェースデザインの提案、プロトタイプの評価など様々な活動フェーズで、客観的・論理的にデザインを考える役割を担っている。多摩美術大学、女子美術大学講師、日本人間工学会認定人間工学専門家。
《講演者からのメッセージ》
デザインは狭義には製品の見た目を良くしたり情報を見やすくしたりするような意味で用いられますが、広義には人とテクノロジーとの関係性を最適化することで人々の生活をより快適にしたり、社会をより良くしたりする活動です。そこで重要になるのが人々の良質な体験、UX(ユーザーエクスペリエンス)の向上です。UXはあらゆるものから影響を受けますが、製品やサービスとの直接的な接点となるUI(ユーザーインタフェース)デザインは特に重要な領域です。社会インフラ事業を扱う東芝のデザイン/UIデザインの紹介を通して、ゲーム業界と社会インフラ業界が相互に学びあうようなきっかけづくりを本セッションは担いたいと考えています。皆さんとのエンカウントを楽しみにしています。