機械学習の導入には、データへのラベリング作業が発生し膨大な工数が必要となります。一方で、ルールベースや教師なし学習などのラベリングが不要な方式では性能が不足するという課題も生じています。本セッションでは、ラベリングの課題解決に有益な不正検知手法「DevNet」を紹介します。DevNetを導入した結果、既知の不正データを数百件ほど用意するだけで、従来の手法と比較して不正ユーザの検知数を平均20%改善することができました。DevNetの考え方は未知のデータは全て正常とみなすことで、異常検知問題をデータ量に偏りのある二値分類に落とし込むというシンプルなものです。それゆえに、ゲームジャンルやデータの形式に縛られずに活用できる余地があることを示します。
講演者プロフィール
都築 圭太
2015年にCygames入社。入社後はカジュアルゲームのクライアント開発、データ分析基盤の運用開発などを経て2019年からゲームマスターチームに合流。現在は運用タイトルの不正対策の立案・運用業務に従事。
《講演者からのメッセージ》
モバイル・PC・ブラウザなど、多様な環境で遊ばれるゲームを運用する上で、データに基づく不正対策は必要不可欠です。一方で、実際にそれを行おうとすると、他社事例もなかなか出回っておらず、参考になる情報を見つけるのが極めて難しいと感じています。本講演が、データに基づく不正対策を運用する上でのヒントとなれば幸いです。
閔 正媛
画像処理・AI関連の受託開発会社で、産業界の様々なデータを使った機械学習の経験を積み、2019年Cygamesに入社。2020年よりゲームマスターチームに合流し、機械学習を使った不正検知システムの開発と業務自動化を担当している。
《講演者からのメッセージ》
不正検知は、製造業など他分野における異常検知とは異なって、善良なユーザーを誤って不正として措置した時のリスクが大きく、他分野の実績が活用しにくいと考えられていました。ところが、2019年発表されたDevNetのお陰で、不正検知にも機械学習を活用することができるようになりました。本講演を通して、不正検知向けの機械学習に興味を持っていただけると幸いです。