近年、日本におけるゲーム実況という文化は目まぐるしく発展する一方で、その権利関係等については、未だに十分な整理が行われていないと考えております。
そこで、本セッションでは、日本におけるゲーム実況文化の持続及び発展を目的に、「ゲーム実況」と「法律」の専門家が共同して、複雑化した現在のゲーム実況を取り巻くエコシステム及び法的な権利関係についての状況を整理します。まずは、各ステークホルダーのポジションを視覚化することで、その中でゲーム実況者が意識又は理解すべき行為規範を考察します。また、新たな試みとして、ゲーム実況者が動画に対して有する権利についての考察を行います。これらの考察結果を発信することで、ゲーム実況者における著作権に対する理解を促し、もって日本におけるゲーム実況文化の健全な持続及び発展に寄与することを企図しています。
本セッションが、上記のようなゲーム実況に対する疑問を抱く方々の一助にもなれば幸いです。ご来場お待ちしております。
講演者プロフィール
近藤 史一
1985年、愛知県生まれ。ネットタレント兼社会人学生。日本初のプロゲーム実況者。メーカー公認で誰でもゲーム実況を配信できる企画や,ファンと共に公式番組を制作する企画など,ユーザーを巻き込むことを活動の軸としている。2015年には日本全国のファンからなるクラウドファンディング型コミュニティを設立し,ファン主導による東京ゲームショウへのブース出展を成功させる。現在はオンラインサロンやTwitchで活動しながら,大学生として臨床心理学を勉強中。
《講演者からのメッセージ》
本セッションにおける私の役割は,ゲーム実況の変遷について,権利処理やマネタイズの側面から事例を交え話題提供をさせていただくことです。
私は2008年から約10年にわたって仕事としてゲーム実況を実践してきました。当時はメーカーや広告代理店に直接交渉しなければマネタイズは成立しませんでしたが,現在は誰でもマネタイズできるようになりました。このような状況について,当時を知っている人は違和感があるのではないでしょうか。同時に,当時を知らない人にとっては不安があるのではないでしょうか。誰もが不安な気持ちや後ろめたい気持ちをもたずにゲーム実況を楽しみ,マネタイズのチャンスを掴むことができるよう,情報発信をしたいと考えております。よろしくお願いいたします。
落合 一樹
【経歴】
2018年第二東京弁護士会登録。TMI総合法律事務所において、eスポーツ、ゲームやエンターテインメントに係る法務及びM&Aを専門とし、特にeスポーツ大会の運営事業に関わる法務や法規制、上場企業やゲーム関連企業のM&Aの対応経験を有する。
【実績】
日経MOOK「eスポーツならではの問題も世界における法律面での課題」(2020年、日経BP社)
M&A戦略と法務2021年1月号315号「M&Aにおける職務発明に係る相当利益の請求権の法的処理」(2020年、レコフデータ)(共著)
《講演者からのメッセージ》
近年、ニコニコ動画やYouTubeを始めとする動画投稿プラットフォームの発展を契機に、誰でも簡単かつ気軽に自身の作成した動画等を、インターネットを通じて公衆に公開できるようになった。これにより、これまでは(一部を除き)個人の趣味として完結していたゲームプレイが、第三者に閲覧させることで収益を生じたり、またはゲームの人気を利用してゲーム実況者の知名度に貢献するようになり、新たに「ゲームという第三者の著作物の対外的な利用」という問題を生じるようになった。この点に関し、誰しも一定程度の疑問は抱いているものの、様々な要因により、不明瞭かつ未整備なままとなっていると感じている。
私自身、一ゲーム実況好きとして、またゲーム関連法務の専門家として、今後も日本独自のゲーム実況文化の健全な発展に寄与したいと考えている。そこで、実際ゲーム実況黎明期に、ゲーム実況者の先駆けとしてご活躍された近藤史一さんと協力し、少しでも上記のような不明瞭かつ未整備な分野に光をあてられるよう試みる。
私達の本セッションが、ゲーム実況に関する考察を深めたいと考えている方の一助となれば幸いです。どうぞお気軽にご来場下さい。