本セッションでは、まず近年自然言語処理AIのトレンドとゲーム業界におけるアプリケーションを紹介します。
それに加えて本セッションで取り上げる「キャラクター性」に関する取組みについて、「ディープラーニングを用いた手法」と「ルールベースを用いた手法」2点に分けて説明します。
「ディープラーニングを用いた手法」パートでは、過去のセリフデータを学習し、新規セリフ作成時にキャラぶれする防止するチェックツールと、そのキャラクターの話し方の特徴を反映したセリフを生成する取り組みを解説します。
「ルールベースを用いた手法」パートでは、現状ディープラーニングを用いた手法が存在する課題と、それを補うためのルールベースのアプローチとして、話者の特定の人物像を想起させる特定の言葉遣い「役割語」に着目した、一般的なセリフをキャラクターらしい表現に変換する研究を紹介します。
講演者プロフィール
頼 展韜
2020年に株式会社バンダイナムコ研究所に入社。
現在は深層学習を用いた自然言語処理の研究開発を担当。
2020 / 04 日本語DistilBERT公開
2020 / 10 日本語感情分析Adapter公開
2021 / 03 「AI王 〜クイズAI日本一決定戦〜」 優勝
《講演者からのメッセージ》
深層学習の発展により生み出したチャットボットなど様々な対話AIが誕生している昨今ですが、
ゲーム開発において、いくら応答精度が高くても、キャラクターたちの言葉が「生きて」いなければ意味がありません。それも普段の我々のように話しているだけでは「キャラクター」になりません。
AIキャラクターの魅力を最大限に引き出すには、「キャラクターらしい」と思ってもらえるようなセリフ設計が重要です。本セッションではキャラクターセリフに特化したノウハウを共有し、少しでも皆様の「AIキャラクターを胸がキュンキュンするようなヒロインにする」参考になれば幸いです。
石原 健司
1990年生まれ、立命館大学大学院 情報理工学研究科修士課程修了。
修士課程修了後、ソフトウェア開発会社を経て、2020年10月に株式会社バンダイナムコ研究所に入社。
バンダイナムコ研究所入社後は、自然言語処理技術のエンターテインメントへの活用に向けた研究開発に従事している。
《講演者からのメッセージ》
Webサイトでのカスタマーサポートやスマートスピーカーとの会話など、人と対話できるAIは年々身近なものになってきており、流暢な会話が可能になってきています。
しかし、ゲームの登場キャラクターの発言を対話AIの技術で実現するなどエンターテインメントの領域で活用したい場合、ただ対話ができるだけでは面白味がないため、対話にキャラクターらしさを持たせる必要があると考えています。
本セッションでは、そんなキャラクターらしい対話AI実現に向けての課題や取り組みについて紹介させていただきます。