立体物を複数の視点で撮影した画像からその立体形状を推定する『フォトグラメトリ』と呼ばれる手法が広く使用されるようになってきているが,物体の反射特性は推定できていないため,その質感をCGで再現することは未だに困難である.そこで本講演では,フォトグラメトリの技術を足掛かりとし,物体の複数視点画像を用いた物体の反射特性(BRDF)の推定手法について解説する.本研究は実用性を重視しており,既にフォトグラメトリをワークフローに導入している場合には僅かな作業コストで導入可能な点が特徴である.本講演では,制作現場でよく使われている”Agisoft PhotoScan”を用いた実例を交えて説明する予定である.
講演者プロフィール
大野 大志
奈良先端科学技術大学院大学情報科学研究科博士前期課程修了(工学).研究領域はコンピュータグラフィックス,コンピュータビジョンなど.SIGGRAPH Asia2017にて講演.
《講演者からのメッセージ》
映画やゲームの分野で盛んに使用されているフォトグラメトリですが,対象の持つ質感を十分に復元できていません.数枚の追加の画像を取得することで,フォトグラメトリのパイプラインを変えずに対象のBRDFを復元する手法について説明します.
久保 尋之
早稲田大学理工学術院助手(2011-2012),キヤノン株式会社(2012-2014)を経て現在に至る.スキンシェーダの研究成果をCEDEC2010, 2011, 2015にて講演.CEDEC 2015ではインタラクティブセッション オーディエンス賞を受賞.
《講演者からのメッセージ》
質感の計測や再現に興味を持って研究しています.制作現場とアカデミックとの距離を縮めたくて今回は応募させて頂きました.ぜひお立ち寄り下さい.