近年,画像,音声,自然言語などの処理において大きな進展のある深層学習(ディープラーニング)をロボットの行動学習に利用する試みが多く報告されている.その研究の多くは深層強化学習を利用しているが,この枠組みで一般に学習に必要となるデータが非常に多くなるという問題がある.本講演では,人間の動作時系列を予測学習することによって,その動作を生成するメカニズムを獲得させる,模倣学習に着目し,我々がこれまでに行ってきた人間型ロボットを用いた一連の研究例を紹介する.具体的には,動作教示による柔軟物ハンドリング,複数動作のメタ学習による新規動作模倣,他者視点予測による模倣学習などの事例を紹介する.最後に今後の模倣学習の発展について考察する.
※ 本招待セッションは、人工知能学会とのコラボレーション企画セッションとなります。
人工知能学会 公式サイト: https://www.ai-gakkai.or.jp/
講演者プロフィール
三宅 陽一郎
京都大学で数学を専攻、大阪大学大学院理学研究科物理学修士課程、東京大学大学院工学系研究科博士課程を経て、人工知能研究の道へ。ゲームAI開発者としてデジタルゲームにおける人工知能技術の発展に従事。国際ゲーム開発者協会日本ゲームAI専門部会チェア、日本デジタルゲーム学会理事、芸術科学会理事、人工知能学会編集委員。著書に『人工知能のための哲学塾』『人工知能の作り方』、共著に『絵でわかる人工知能』『高校生のための ゲームで考える人工知能』『ゲーム情報学概論』(コロナ社)最新の論文は『大規模ゲームにおける人工知能─ファイナルファンタジーⅩⅤの実例をもとに─』(人工知能学会誌 2017年、AI書庫にて公開)
《講演者からのメッセージ》
ディープラーニングなど学習によるキャラクター運動の生成について、最先端の成果を、人工知能学会の世界的な研究者にお願いいたします。事例や映像を多くしてわかりやすいセッションにして頂きますので、ぜひ、気軽にお越しください。どなたでも楽しめるセッションになるかと思います。
尾形哲也
早稲田大学理工学術院基幹理工学部表現工学科教授.1993年,早稲田大学理工学部機械工学科卒業.日本学術振興会特別研究員,早稲田大学助手,理化学研究所脳科学総合研究センター研究員,京都大学大学院情報学研究科准教授を経て,2012年より現職.2009年,さきがけ領域「情報環境と人」研究員兼任.2017年,産業技術総合研究所人工知能研究センター特定フェロー(クロスアポイントメント).ディープラーニングによるロボットの行動学習および人間とのコミュニケーション発達に関する研究に従事.
《講演者からのメッセージ》
ディープラーニングは,画像,音声,自然言語など多様な分野で大きく発展していますが,これらを統合したシステムとしてのロボットへの応用も急激に進んでいます.本講演では,特に我々が進めているロボットの動作学習へのディープラーニング応用例を紹介します.興味を持っていただければ幸いです.