コンシューマー・モバイルタイトルでIPv4/IPv6デュアルスタックなP2P通信をサポートしてきた中でやった事 〜 ここ数年のネットワーク環境の変化と社内検証環境の変化

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日時:
2018年08月22日(水)11時20分〜12時20分
形式: レギュラーセッション
プラットフォーム: コンシューマ PC モバイル
受講スキル:
- TCP/IP, UDP/IPの基礎知識 - NAPT挙動に関する基礎知識(RFC4787等) - 家庭用ルータ・モバイルルータに関する基礎知識 - ブロードバンド・モバイルブロードバンド通信回線に関する基礎知識
受講者が得られるであろう知見:
- IPv4/IPv6デュアルスタックでP2P通信を行うゲームクライアント環境からみた、現在の国内+海外ネットワーク環境の遅延・接続性状況 - ここ数年の現場で遭遇した遅延・接続性に纏わる実際のトラブル事例とその対処方法 - RaspberryPiで構築されたカジュアルなWANエミュレータ活用による、ネットワークデバッグ手法とその有用性
セッションの内容

「IPv4枯渇による、共存技術の導入・IPv6普及」「モバイルブロードバンドの発展と普及」を始め、ここ数年でゲームクライアントを取り巻く環境は大きく変わった。

IPv4/IPv6デュアルスタックでP2P通信することや、4G/LTE回線でも40-60msec程度のRTTを期待した通信が可能になるという、ポジティブな現実の一方で、いたるところで想定外の遅延や、接続性の低下に遭遇したりとネガティブな現実も多々存在する。

そんな急速な現実の変化の中、インターネットの調査・統計情報で一般的なレポートはあれど、ゲームプレイ環境に特化したものは殆どないため、「一般的な話はこうだけど、ゲームプレイ環境も同様に考えて大丈夫かどうか?」という疑念に囚われながら、ネットワークの実装やデバッグをしてる人は少なくないだろう。

このセッションでは、IPv4/IPv6デュアルスタックなP2P通信のログ解析から得られた、ゲームクライアントにおける接続性・遅延傾向の統計情報を読み解きつつ、上記通信をサポートしてきた中で遭遇した問題や、対応してきた事象について解説を行う。また、多様な遅延環境に対応すべく独自開発し、社内展開しているWANエミュレーターについて、実機を用いたネットワークデバッグ手法のデモを交えつつ、解説する。


講演資料

  • CEDiL_1820_0.pdf

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講演者プロフィール

佐藤 元彦

佐藤 元彦
所属 : 株式会社コナミデジタルエンタテインメント
部署 : 第1制作本部 技術開発部
役職 : スタッフ

2008年 株式会社コナミデジタルエンタテインメント入社。
オンラインゲームのネットワーク技術開発、特にNAT越えアルゴリズム、IPv4/v6デュアルスタックP2P通信ライブラリの開発を担当。近年はWANエミュレーションやモバイルネットワークの研究にも注力。

*過去の講演*
情報ネットワーク研究会(2017/11)「Game Client からみた Broadband, Mobile Broadband 環境 における遅延傾向の違いとその対策」
CEDEC2015「多様なモバイルブロードバンド環境でリアルタイム通信を行なう上で考えるべき遅延特性」
CEDEC2014「モバイルブロードバンド時代におけるP2P通信の落とし穴」
CEDEC2013「Router & Network Report 2013 for P2P Online Game」

《講演者からのメッセージ》
ネットワーク環境は日々変化を続けているが、ゲーム業界を取り巻く、その"今"がよく分からない人は多いのではないだろうか。

「ブロードバンド回線」「モバイルブロードバンド回線」「IPv4枯渇」「共存技術」「IPv6利用可能率」「遅延」「接続性」「国内」「海外」...etc
それらのゲームからみた現実を知るのはあまりにも大変で、またそれらの危険な箇所を的確にピックアップして、検証をするのは、質的にも量的にも難儀することがしばしば。

幸か不幸か、IPv4/IPv6デュアルスタックなライブラリを開発/保守しつづけて、そのログの解析まで、数年にわたり続けてきたため、そこから見えたネットワークの景色というのが、心に焼き付いている。

この景色が他の人に完全に当てはまるとは思っていないが、ある程度は役に立つだろうと直感したので、セッションの場で、ネットワークに携わる開発者に伝えられればと思う。