3次元回転を極める ~ 一歩進んだキャラクタアニメーションプログラミング ~

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日時:
2010年09月02日(木)13時30分〜14時30分
形式: セッション(60分)
受講スキル:
3Dアニメーションシステムのプログラミング経験.特に,オイラー角(ロール・ピッチ・ヨー表現など)や四元数(クォータニオン)を利用した開発経験があると理解が深まります.
受講者が得られるであろう知見:
3次元回転のデータ表現形式に関する実践的な基礎知識と,キャラクタアニメーションプログラミングへの応用事例についての知見.図表やムービーを多用し,3次元回転の本質を平易に解説します.
セッションの内容

3DCGアニメーションのプログラム開発にあたって,3次元回転の扱い方は大きなポイントの一つとなります.本セッションでは,3次元回転を表現するためのさまざまなデータ形式を紹介し,それぞれの長所短所をまとめます.まず,多くの制作現場で活用されている回転行列,オイラー角(ヨー・ピッチ・ロール角など),任意軸周りの回転,四元数(クォータニオン)について横断的に説明します.次に,対数クォータニオンと呼ばれる,比較的新しく,いくつかの優れた特性を持つ回転データ表現形式を紹介します.
さらに,キャラクタアニメーションプログラミングを題材として,それぞれのデータ形式を用いることによるアニメーション品質への影響,弊害,計算速度やメモリコストなどについて多角的に考察します.具体的には,フォワードキネマティクスやインバースキネマティクスをはじめ,モーションキャプチャデータの加工技術(ブレンディング,データ圧縮,ノイズ除去などのフィルタリング),さらに物理シミュレーションなどの実装例を通じ,データ形式の違いによる影響について検討します.

セッション構成案
1. 3次元回転のデータ形式
(ア) 3次元回転とは
(イ) 「方向」と「角変位」の区別
(ウ) 回転行列,オイラー角,任意軸周り回転,四元数
(エ) Exponential maps: クォータニオンの対数と指数
(オ) 開発の側面から見たそれぞれの特性と比較

2. キャラクタアニメーションプログラミングにおける使い分け
(ア) 効率的なフォワードキネマティクス
(イ) インバースキネマティクスにおける使い分け
(ウ) アニメーションブレンディング
(エ) デジタルフィルタリングとデータ圧縮
(オ) 物理シミュレーションへの発展

CEDEC2010プログラム委員会からの紹介コメント
グラフィック、アニメーション、AIや物理など、様々なゲームの技術分野で回転の計算が使われています。回転を系統的に扱った書籍やWebページが少ないために、断片的な学習で、漠然と回転行列やクォータニオンを使用されている方も多いのではないでしょうか。本セッションでは回転というテーマに関して、系統的な知識を提供し、合わせてあまり知られていない対数クォータニオン等の概念も扱うため、回転についてまとまった勉強や知識の整理したい方に是非お勧めしたいセッションです。


講演資料

  • C10_P0036.pdf

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講演者プロフィール

向井 智彦

向井 智彦
所属 : 株式会社スクウェア・エニックス
役職 : 技術開発部 シニアアーキテクト

平成18年3月豊橋技術科学大学大学院工学研究科電子・情報工学専攻博士後期課程修了.博士(工学).同年4月同大学情報工学系助教.平成21年11月より現職.モーションキャプチャデータの編集技術をはじめとして,CGキャラクタアニメーションの制作技術全般に興味を持つ.