今年3月に、世界最強のコンピュータ囲碁プログラム「Zen」が武宮正樹九段に置碁(4子)で勝利を収めた。
世界でも普及している思考ゲームの中でも囲碁は、情報学的に見て最も探索空間が広く、局面の評価方法が難しいため、長い間、強いプログラムを作るという人間の挑戦を拒んできた。
コ ンピュータ囲碁研究は、2006年に現れたモンテカルロ木探索の手法がひとつのブレークスルーとなって、ここ数年、長足の進歩を遂げている。本パネルで は、コンピュータ囲碁研究の略史を概観し、一昨年ころからコンピュータ囲碁界でトップを走り続けている「Zen」の技術的特徴について開発者の一人である 加藤英樹氏にご紹介いただく。
また、9路盤で「Zen」と対戦した経験のある大橋拓文五段から、コンピュータ囲碁の特長や限界について話っていただく。
講演者プロフィール
大橋拓文
昭和59年5月25日生 東京都出身
菊池康郎氏(緑星囲碁学園)に師事
平成14年入段、 同年二段、15年三段、18年四段、23年五段
加藤英樹
1953年生東京都出身.
1977年東京工業大学工学部電子物理工学科卒業.
1980年東京工業大学工学理工学研究科情報工学専攻修了.
1980~1982年東京工業大学助手.
1982~2001年(株)富士通研究所勤務.
2006~2010年東京大学大学院情報理工学系研究科創造情報学専攻博士課程.
コンピュータ囲碁フォーラム理事.
伊藤 毅志
電気通信大学情報理工学研究科助教.昭和39年生愛知県出身.囲碁、将棋などの思考ゲームを中心に、プレーする人間の思考や学習などの認知過程の研究や対戦して楽しいゲーム研究に従事.UEC杯コンピュータ囲碁大会実行委員長.5五将棋大会などの思考ゲームのコンペティションの企画遂行、世界コンピュータ将棋選手権広報担当など、コンピュータ思考ゲームのコンペティションや公開対局の企画運営を行なう.コンピュータ将棋協会 (CSA) 理事.コンピュータ囲碁フォーラム (CGF) 理事.
《講師からのメッセージ》