国内における業務用ゲーム市場規模はオペレーション売上高5731億円(平成20年度実績)と巨大で、家庭用ゲーム市場と比べても遜色がない。クレーンゲーム、メダルゲーム、アミューズメントベンダー(写真シール機等)や、キッズカードゲーム等、家庭では体験できないアミューズメントを求めるお客様の、今やその半数近くが女性である。
一昔前とは客層、機械など様変わりしているゲームセンターにあって、特にマスメダルゲームには大型のギミックが設けられ、物理ギミックならではのド派手な演出で集客効果が高い。2001年にタイトーからリリースされた大型メダルゲーム機「ダイノキング」は、筐体の中央にある大型のティラノサウルス(恐竜ロボット)が動き回り、その口からメダルを吐き出す。このシリーズは「ダイノキング3」までリリースされており、2001年の基本設計のまま、市場で今なお強い支持を得ている。
このセッションでは、業務用と家庭用の市場規模比較から、巨大なゲームセンター市場を支える業務用エンターテインメントの技術の一端として、この恐竜ロボットのメカニクス、ハードウェア、ソフトウェアを中心に、その企画、動作の仕組み、設計において考慮すべき事柄など、技術的な観点から紹介する。 CEDECに来場される方々が、家庭用のみならず、業務用ゲーム開発にも興味を持っていただけるような、専門外の方々にもその技術的好奇心を満たすセッションである。
プログラム
0. 業務用ゲーム市場と家庭用ゲーム市場
1. ダイノキング企画の背景
(1)ペラ1枚から始まる恐怖、動く恐竜からメダルが!?
2. 設計編
(1)外観から攻めるデザイン担当、内部機構から攻めるメカ担当のせめぎ合い
(2)メダル吐き出しと恐竜の動きの両立、内部機構をどれだけ簡略化できるか
(3)外観の要、ティラノサウルスのスキン(表皮)の技術とは
(4)音でもティラノサウルスの迫力を
3. トラブル対処編
(1)スキンが破ける!
(2)メダルが詰まる!
(3)耐久試験は持つのか!
4. 市場出荷後の反応
(1)飛びつく子供と離れない親
5. 業務用ゲームの今後の展開
講演者プロフィール
鶴身 豊弘
業務用ゲーム機開発部門にて、メカニカルエンジニアとして、主にビデオゲーム機の開発設計を行ってきました。特にインターフェイスの感性による評価・作り込みに力を入れていましたが、バトルギア4 Tunedのプロフェッショナル筐体がエンジニアとしての最終実績となりました。現在は管理職として筐体設計全般とプロジェクトの管理を行っています。