本セッションでは、3DCG制作で広く用いられるPBR(Physically Based Rendering)について、現実世界の身近な現象を観察しながら理解する手法を解説します。スプーンをヤスリで削って金属の反射の変化を観察したり、紙を濡らして暗く見える理由を確かめたり、紅茶を透明な容器に注いで透過と吸収の関係を理解するなど、日常的な題材を通してRoughness、Metallic、Transmission、Subsurfaceといったパラメータが何を意味しているのかを整理します。数式ではなく「現実で何が起きているか」を出発点とすることで、マテリアル設定を勘ではなく根拠に基づいて行うための視点を提供します。
講演者プロフィール
新井 智大
Bandai Namco Studios Malaysia Sdn. Bhd.のTechnical Supervisor。
ゲーム/CG開発におけるレンダリング技術、DCC連携・制作パイプライン整備を担当。制作現場への技術導入を推進している。
《講演者からのメッセージ》
この講座では、PBRが当たり前となった現在において、現実の物質表現がどのように簡略化・数値化され、シェーディングモデルへ落とし込まれているのかを、身近な物質や事例を通して理解していきます。
普段何気なく扱っているマテリアル表現を、あらためて見直す一助となればと思います。
鈴木 雅幸
テクニカルアーティストとして描画に関することを主にしていて、たまにライティングの作業もしています
過去のCEDECの講演としては
CEDEC2025 ライティングアーティストってどんな仕事?
CEDEC2024 アーティストのためのカメラの仕組み講座
CEDEC2023 DCCツールを用いた広色域テクスチャワークフロー
CEDEC2022 MaterialXとStandard Surfaceのゲームグラフィックスへの応用について
CEDEC2021 『New ポケモンスナップ』におけるライティング
CEDEC2021 レイトレ時代のゲームグラフィックス、地に足をつけて備えよう - NVIDIA Falcor で次世代品質のリアルタイム物理ベース照明を手軽に素早く検証する –
CEDEC2020 信頼性の高いHDRI作成術
CEDEC2019 『大乱闘スマッシュブラザーズ SPECIAL』~お借りしたIPをできるだけ綺麗に描くために
CEDEC2008 リニア空間と物理的に正しいライティング
《講演者からのメッセージ》
なんとなく設定していたPBRのパラメータを、身近なものの観察や実験を通して紐解きます。
質感表現を再現するための観察眼を手に入れるためのヒントになればと思います。
Ahmad Amirul Abdul Aziz
Bandai Namco Studios Malaysia Senior Character Artist。
ハイポリスカルプトおよびリアル系アセット制作を中心に、キャラクターアート制作に従事。5年以上にわたり、リアルな質感表現とPBRマテリアルを用いたビジュアル制作に取り組んでいる。
《講演者からのメッセージ》
PBRが広く普及した現在でも、現実の物質表現を正しく理解することは、より説得力のあるビジュアル制作につながると考えています。本講座が、マテリアル表現や質感制作への理解を深めるきっかけになればうれしいです。


