様々なサウンドツールが存在する一方で、社内のワークフローと合致しないことで、データ管理の煩雑化やオペレーションの非効率化、さらにはラーニングコストの増大を生むケースがあります。
特に繁忙期には、非効率性が大きなストレス要因となり、作業全体のボトルネックとなり得ます。
本講演では、非プログラマーであるサウンドスタッフ自身が、自分たちの制作スタイルに合わせた補助ツールを内製し、業務効率化を実現してきた取り組みを紹介します。
中心となるのは、内製で作成した、波形素材の管理・検索・試聴・エディタ/Wwise連携を統合した波形データ用ファイル管理ツール「GST SoundFiler」となります。
ツリー/リスト/タブ構造を基盤に、検索・フィルタ、プレイリスト、ブックマーク、各種再生モード、波形表示、データインポートなどを備え、「探す→聴く→確認→渡す」を1つの導線で完結させます。
その結果、複数ツールの行き来が大幅に減り、「GST SoundFiler」を常時起動するワークフローへと定着しました。
実装の実例として、ボイスの音量調整支援機能、Wwise、Nuendo、Subversionとの連携、
ボイス納品チェック(台本Excel取り込み、AI文字起こし照合)や、効果音ライブラリ検索(メタデータ検索/ベクトル検索)といった機能実装ついても紹介します。
加えて、ループ区間再生の実装、長尺波形表示の高速化、大量データ照合の高速検索、起動高速化など、
非プログラマーが実運用に耐えるツールへ育てる中で直面した課題と工夫を共有し、内製ツール開発のヒントを提供します。
講演者プロフィール
光原 孝之
他業種にてサウンド関連業務に従事した後、2004年に株式会社ガンバリオンに入社。
『ドラゴンボール ゲキシン スクアドラ』(配信元:株式会社バンダイナムコエンターテインメント)、
ガンバリオン自社パブリッシングタイトル『修羅道』、『縁がわ男子とけものたん』等、数々のタイトルにサウンドデザイン、作編曲担当として携わる。
スクリプト等を利用した業務の効率化も積極的に行っており、近年はPythonがお気に入り。
<過去の講演>
・CEDEC2016 サウンドにおけるスクリプトの可能性 ~効率化で幸せになろう!~
・CEDEC+KYUSHU 2018 社内のサウンド音量環境を整えてみた。 - リファレンス環境を揃えてミックス作業を効率的に行おう! -
・CEDEC+KYUSHU 2020 どうやって作ってる!? ゲームサウンドのお仕事
《講演者からのメッセージ》
日々の制作の中で、「ちょっとした面倒をラクにしたい」「これができたらいいのに」「こういう流れにできたら作業が早いのに」
と感じる場面は、多くの方が経験されているのではないでしょうか。
本講演では、そうした小さな“気になるポイント”をきっかけに、サウンドデザイナー/コンポーザーである私自身が、
コツコツと作り続けてきた内製ツールの機能や、その過程での工夫、苦労した点などを紹介します。
非プログラマー視点での取り組みとなりますので、同じサウンド職の方に、気軽な気持ちで聞いていただければと思います。
この講演が、皆様の日々の「ちょっとした面倒」を減らすためのきっかけやヒントになれば幸いです。


