ゲームにおける初心者離脱の課題に対し、本セッションではLLMベースAI NPCによる解決策を、大規模実証と技術開発から解説します。
昨年CEDEC2025で紹介したAI NPCを展開した5000人規模・31日間の調査では、接触した新規プレイヤー滞在時間が約2.2倍に向上し、累積接触日数が翌日ログイン率を1日あたり+33.5%向上させました。AI NPCは繰り返し会う「顔なじみ」として機能したときに真の定着効果を発揮することが実証されました。
この知見を踏まえ、プレイヤーと一緒に成長する協力プレイ体験を実現する「対話型知識獲得ループ(CKAL)」を開発しました。AI NPCがギミックを操作し、対話を通じて知識を獲得・応用する本技術により、AIが「全知全能」にならず、プレイヤーと共に悩み成長する体験を実現します。さらに、141名による比較実験から、AI NPCの操作能力と能動性がゲーム体験に与える影響を定量的に明らかにし、達成感を損なわず効果的に支援する設計指針を提示します。
講演者プロフィール
柳川 光理
2012年 HAL名古屋 3DCGクリエイター専攻修了後、有限会社来栖川電算へ入社、自動運転関連技術の研究に従事。
2018年、株式会社EmbodyMeへ入社しリードエンジニアとしてリアルタイムディープフェーク技術の研究開発に従事。
2022年、株式会社SYMMETRYへ入社しリサーチマネージャーとして橋梁維持点検の自動化に係る研究を主導。
2024年よりクラスター株式会社 メタバース研究所 シニアリサーチエンジニアとしてVR空間内の身体性を持つAIエージェントの研究開発に従事。
2025年より筑波大学大学院 情報学学位プログラム 博士前期課程に社会人学生として在学。
《講演者からのメッセージ》
1年半研究して、LLMベースのAI NPCをゲームに導入することが、かなり現実味を帯びてきました。
知性を持ったバディが「嘘だろ、また同じダンジョンかよ?正直飽きてきた。もう路銀は十分あるだろ?」と言ってきたり、
玉座の魔王が「神聖なる謁見の間で、貴様はなんて格好をしているのだ!出直してこい!」と怒り出したら、きっと面白いと思いませんか?
私はいつか、そんなゲームをプレイしてみたいのです。
クリエイターの皆様、ぜひこのセッションを聴講いただき、新しいゲームを生み出してください!
廣井 裕一
2017年、慶應義塾大学大学院開放環境科学専攻修士課程修了。同年、NTTサービスエボリューション研究所研究員。2022年、東京工業大学情報理工学院博士後期課程修了。同年、東京大学大学院情報学環にて日本学術振興会特別研究員(PD)。2023年より、クラスター株式会社メタバース研究所シニアリサーチサイエンティスト、現在に至る。複合現実感、メタバース、ヘッドマウントディスプレイ、視覚拡張などの研究に従事。博士(工学)。
《講演者からのメッセージ》
「身体を持ち、自分で考え、ユーザと対話するAI NPC」という、SFの中の存在だったものが、いま現実になりつつあります。いつかオンライン環境でAI NPCがユーザと同じように日常を過ごし、互いに支え合い、笑い合い、人生のパートナーとして絆が生まれる、そんな未来が来るかもしれません。その第一歩として、AI NPCとユーザが一緒に謎を解く協力プレイの設計と、5,000人規模の商用環境での実証に取り組んでいます。AI NPCは本当にユーザの体験を変えられるのか、その手応えを、データとともにお伝えします。


