CEDECは三年前より運営の改革に取り組んできました。この間にセッション数および参加者数は大幅に増加し、さらにCEDEC AWARDSを初めとする内容の拡大を通じ開発者向けイベントとして価値の向上を実現しました。
ビデオゲームを取り巻く環境は絶えず変化しています。今年、特に注目を浴びているのは3D立体視や入力コントローラに代表される入出力インタフェースです。ビデオゲームの際立った特徴であるインタラクティブ性は、これからも技術の進歩とともに、文字通り形を変えながら進化を続けることでしょう。CPUやGPU性能の向上、高速ネットワークの普及などを含め、さまざまな技術の進歩をビデオゲーム開発に活かすことが、これからも求められています。
ただしCEDECは最先端の技術情報だけを取り上げる場ではなく、ゲーム開発者の一部を対象としているのでもありません。ビデオゲーム開発者が必要とする情報や知識には、開発現場の経験と工夫から生まれてくるものが数多く含まれており、これもCEDECには欠かせない大切な要素です。ゲーム開発に関わるあらゆる人達が、CEDECの価値を見いだせるようこれからも運営の品質向上に務めて参ります。
CEDECの活動にはもちろんさまざまな制約があります。CESAが業界団体として、これほどの規模の開発者イベントを開催しているのは、他製造業を見ても稀有な例といってよいでしょう。世界中でビデオゲームの普及が一層進み、絶えず新しいコンテンツが求められていく中で、CEDECはこれからどのような価値をビデオゲーム開発者に届けることができるのでしょうか。CEDEC運営メンバだけでなく、広く開発者に伝えて、忌憚のない意見を届けてもらう機会としたいと思います。
講演者プロフィール
松原 健二
1962年東京生まれ。1986 年東京大学大学院情報工学修士課程修了.2001年(株)コーエー入社.現在,コーエーテクモホールディングス(株)および(株)コーエーテクモゲームス代表取締役社長。東京大学情報学環特任教授,情報処理推進機構(IPA)未踏ソフトウェア創造事業プロジェクトマネジャーを歴任。社団法人コンピュ-タエンタ-テインメント協会(CESA)の副会長,技術委員会委員長としてCEDECを開催。2010年よりCEDECフェロー。