人工知能(メタAI)を用いたゲームデザインの変革

タグ:
日時:
2017年08月31日(木)10時00分〜11時00分
形式: レギュラーセッション
プラットフォーム: コンシューマ アーケード PC モバイル
受講スキル:
- ゲームデザインと人工知能に興味を持つ方 - 人工知能を使ったゲームデザインに興味を持たれる方 - ゲームデザインをダイナミックに設計されたい方 - 人工知能を用いた新しいゲームデザインを志す方 - 特に前提知識は必要ありません
受講者が得られるであろう知見:
- 戦闘などレベルデザインを人工知能によって動的に変化させる方法 - 戦闘や会話などゲームの流れを人工知能技術によって起承転結をつける方法 - ユーザーのスキルや履歴に応じたゲームの変化のさせ方 - 自動生成技術とゲームデザインを人工知能でつなぐ方法
セッションの内容

「メタAI」とはゲーム全体を制御する人工知能です。ゲーム内に身体を持たず、ゲームの全体的状況を監視し、キャラクターへの命令や配置、オブジェクトの変化を通じてゲーム世界に変化を及ぼします。「メタAI」は、古典的メタAI(1980年代~)と、現代的メタAI(2007年~)に分類されますが、古典的メタAIはユーザーのスキルを判定して、敵の数や種類によってゲームの難易度を受動的に変化させる技術です。一方で、現代的メタAIは、より積極的に、敵の出現位置、数、種類、自動生成技術を用いて、ゲームを積極的に変化させて行く技術です。メタAIはいわばゲームデザイナーの知能を模した人工知能であり、リアルタイムにユーザーのスキルや行動に応じてゲームそのものを変化させて行きます。本セッションではいくつかの実例を示しながら、メタAIがどのようにゲームデザインを動的に変化させて行くかを解説いたします。また今回は、この「メタAI」の技術とノウハウと歴史を解説して行きます。またオリジナルのデモを通して、メタAIの作り方、ノウハウ、使い所をお伝えしたいと思います。メタAIはやがて作家性を持ち、そのシーンに起承転結をもたらす人工知能として活躍します。


講演資料

  • C17_122.pdf

※資料のダウンロードにはログインが必要です。


講演者プロフィール

三宅 陽一郎

三宅 陽一郎
所属 : 株式会社スクウェア・エニックス
部署 : テクノロジー推進部
役職 : リードAIリサーチャー

経歴:
京都大学で数学を専攻、大阪大学(物理学修士)、東京大学工学系研究科博士課程を経てデジタルゲームにおける人工知能の開発・研究に従事。IGDA日本ゲームAI専門部会設立(チェア)、DiGRA JAPAN 理事、芸術科学会理事、人工知能学会編集委員。共著『デジタルゲームの教科書』『デジタルゲームの技術』『絵でわかる人工知能』(SBCr)、著書『人工知能のための哲学塾』(BNN新社)『人工知能の作り方』(技術評論社)『はじめてのゲームAI』(WEB+DB PRESS Vol.68)翻訳監修『ゲームプログラマのためのC++』『C++のためのAPIデザイン』(SBCr)最新の論文は『大規模ゲームにおける人工知能─ファイナルファンタジーⅩⅤの実例をもとに─』(人工知能学会誌 2017年、AI書庫にて公開)

《講演者からのメッセージ》
メタAIはこれから発展して行く分野であり、またゲームAIの中心となる分野です。80年代の難易度調整、00年代のレベルデザイン調整から、10年代には起承転結を含んだドラマ生成がメインテーマとなります。AIとゲームデザインの融合ポイントについて解説いたします。また人工知能学会とのコラボセッション「人工知能と対話システム 」を担当しております。キャラクターとの自然な対話は、本年、もっとも需要の高いゲーム産業における人工知能案件です。日本を代表するエキスパートである東中先生をお呼びしており、皆様にとってとても重要なセッションとなるかと思います。ぜひ、お越しください。

水野 勇太

水野 勇太
所属 : 株式会社スクウェア・エニックス
部署 : テクノロジー推進部
役職 : AIテクニカルデザイナー

経歴:
大手ゲーム会社で、ステルスアクションゲームの敵AIプログラマとして、ゲーム業界のキャリアをスタート。シリーズ作の敵AIプログラマ、スマートフォンタイトルのリードプログラマなど4年のプログラム経験ののち、ディレクターへ転身。スマートフォンタイトルのディレクター、プランナーとして6年間ゲームデザインの経験を積む。
2017年4月、ゲームAI開発に本格的に取り組める環境を求めて、スクウェア・エニックスへ転職。現在は三宅と共に、さらに進歩したメタAIの実現、ゲームの面白さをAIでコントロールすることを目指し、AIテクニカルデザイナーとして業務に取り組んでいる。

《講演者からのメッセージ》
メタAIは今、時代に求められています。
プロシージャルに生成されるレベルにおいて、事前に敵やイベントを最適に配置することはできません。EASY/NORMAL/HARDなどおおざっぱな分類では、もう少し難しいバランスを遊んでみたいユーザーを満足させることはできません。
メタAIであれば、リアルタイムにレベルを認識し、最適なバランスを組み立てることができます。また、リリース後のゲームにおいても、バランスを自動で最適化し、ユーザーへのおもてなしとしての体験を提供できます。
ゲームデザインの革新となりうるメタAI、その可能性や未来について少しでも感じていただければ幸いです。