クロスボーダー「AI×認知科学」パネルディスカッション

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日時:
2013年08月21日(水)16時30分〜17時30分
形式: パネルディスカッション
受講スキル:
SRやARGの手法をコンテンツや宣伝に応用したいと考えるプロデューサー、ディレクター、宣伝、技術者の方に向けて、事例をベースに解説いたします。エンターテインメント全般に広い視野をお持ちの方に向けて、事前知識は必要ありません。人工知能、認知科学、代替現実、いずれかに興味をお持ちの方、新しいエンターテインメントの形に興味のある方、これらの知識を宣伝などに応用を目指される方も、最先端の事情とビジョンに触れることができます。
受講者が得られるであろう知見:
人工知能、認知科学、代替現実について、最先端の事例とともに、各分野のエキスパートが作り出す新しい現実感についての手法を深く知ることができます。ゲームAIの最新技術と次世代のテーマ、「SRシステム」(代替現実システム)の最先端の技術的基盤と導入の方法、コンテンツ制作のノウハウ、「ARG」(代替現実ゲーム)の応用範囲と社会で生み出す新しい可能性を知ることができます。
セッションの内容

エンターテインメントは、ユーザーの認識を拡張し、変化させ、新しいイメージを見せる科学でもあります。そこで、今回のパネルディスカッションでは、デジ タルゲームにおける「人工知能」、ヘッドマウントディスプレイを用いて現実と虚構の空間を交錯させる「SRシステム」(代替現実システム)、物語と情報操 作から現実の中にもう一つの現実を産み出す「ARG」(代替現実ゲーム)、この3つのジャンルを「認知」というキーワードから包括的に捉え、デジタル・エ ンターテインメントの新しい可能性を再考したいと思います。各分野を代表するエキスパートを招いて、エンターテインメントの根底にあるユーザーの認識の原 理について解き明かして行きます。さらに、コンテンツと技術、両面の視点を併せて討論することで、ゲーム、SR、ARG というメディアチャンネルを横断し、新しいコンテンツ展開の戦略を生み出すための議論も行います。全体を通して、それぞれの立場から意見を戦わすことでコ ンテンツの新しい未来の姿を描き出します。


講演資料

  • C13_77.pdf

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講演者プロフィール

三宅陽一郎

三宅陽一郎
所属 : 株式会社 スクウェア・エニックス
役職 : テクノロジー推進部<br>リードAIリサーチャー

1975 年、兵庫県生まれ。京都大学で数学を専攻、大阪大学で物理学(物理学修士)、東京大学工学系研究科博士課程(単位取得満期退学)。デジタルゲームにおける人工知能の開発・研究に従事。IGDA日本ゲームAI専門部会設立(世話人)、DiGRA JAPAN 研究委員、人工知能学会会員。共著『デジタルゲームの教科書』ロングインタビュー『デジタルゲームの技術』 翻訳監修『ゲームプログラマのためのC++』『C++のためのAPIデザイン』(ソフトバンク クリエイティブ)『はじめてのゲームAI』(WEB+DB PRESS Vol.68、技術評論社)。ゲームAiラウンドテーブル・オン・ツイッターは毎月主催し30回以上を重ねる。論文、講演資料はWebブログを通じて公開している。「y_miyakeのゲームAI千夜一夜」http://blogAI.igda.jp


《講師からのメッセージ》

今回は以下の二つのパネルディスカッションに参加させて頂きます。

- In-Game Cinematics(IGC)パネルディスカッション
デジタルゲームはエンターテインメントとシミュレーションという二つの側面を持ち、これをAIから見た場合、シミュレーション的側面には人工技術が、エンターテインメント的側面には In-Game Cinematics(IGC) が対応します。IGCは、ユーザーに向けてAIがある程度決められた役を演じることであり、AI技術は状況に対応して自ら考えて行動することです。そして、ゲームの中でこの二つが様々なタイミングで融合することで、新しいゲーム特有のユーザー体験を作り出して行きます。今回はAIがここでどのような役割を持ち、どんな機能を実現して行くかを議論させて頂きます。


- クロスボーダー「AI×認知科学」パネルディスカッション 
本講演はパネルディスカッション形式です。デジタルゲームに加えて、現代の新しいエンターテインメントでも重要な二つ新しく有望なジャンルの立場の研究者と開発者をお呼びしています。

一つは、ヘッドマウントディスプレイを用いたシステムによって、人間の現実と仮想の境界をものの見事に錯綜させた「認知エンターテインメント」とも呼ぶべき新しいエンターテインメントの地平を拓いた「SRシステム」(代替現実システム、Substitutional Reality System)です。「SRシステム」でしか与えることができない特別な経験は、宣伝やエンターテインメント全般に広い応用可能性を持ちます。

もう一つは、インターネットやリアルな世界の仕掛けを用いて、現実の中にもう一つの物語の流れを作り出すARG(代替現実ゲーム、Alternate Reality Game)です。ゆっくりとしかし確かに、長期に渡って、ユーザーが主体的に関わる物語を作りだす分野です。最近では、アニメ・ゲーム・小説をはじめ、さまざまなコンテンツと結びつき発展しており、ゲーム開発のディレクターやプロデューサーも目の離せない分野になっています。

脇坂 崇平

脇坂 崇平
所属 : (独)理化学研究所
役職 : 脳科学総合研究センター適応知性研究チーム<br>研究員

2001年東京大学教養学科科学史・科学哲学科卒業。2007年神戸大学大学院自然科学研究科修了(理学博士)。2008-2011年理化学研究所脳科学総合研究センター創発知能ダイナミクス研究チーム。2011年から同センター適応知性研究チーム。Substitutional Reality (SR) Systemの開発・研究に従事。


《講師からのメッセージ》

SRシステムは、相当不正確な(よくいえばロバスト)なヒトの認知・知覚の特性を逆手にとって実現した、現実と仮想のボーダーをなくす一つの手段です。リアルな世界と人工知能により生成された世界を区別できない形で接続すると、なにができるか?そういったテーマについて、みなさんと議論できたらと思います。

竹内ゆうすけ

竹内ゆうすけ
所属 : ラ・シタデールLLC.

ラ・シタデールLLC.代表 NPO法人国際ゲーム開発者協会日本(IGDA日本)幹事
東京大学教育学部を卒業後、アニメーション業界へ。その後スタートアップ期のベンチャー企業勤務を経て2009年に独立、同年ラ・シタデールLLC.を設立。
現在はARG(代替現実ゲーム)制作に携わるかたわら、構成作家としても活動中。


《講師からのメッセージ》

ARG( Alternate Reality Game:代替現実ゲーム)は、フィクションの世界と現実の世界を交差させて遊ぶゲームです。
現実世界のプレイヤー本人が物語の主人公となり物語の展開に主体的に関わり影響を与えてゆくことができる点は、ARGの重要な特徴のひとつです。ARGのプレイヤー達は、アニメやゲームの世界が自分の住む現実世界と地続きになっているような感覚を楽しみます。
この特別な感覚は、多くの場合とてもシンプルな”演出”によって人間の認知に働きかけ実現されています。
人為的な演出により生み出される現実感は、人間にとってどのような意味を持ち、どのような影響を与えうるのか? 本セッションを通じて議論できればと思っています。