機能的サウンドデザイン ~緊急地震速報のアラートはこうして作られた~

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日時:
2013年08月22日(木)13時30分〜14時30分
形式: 招待セッション
受講スキル:
サウンドデザインを担当している方。音響学、福祉工学に興味をお持ちの方。
受講者が得られるであろう知見:
音が与える心理的な影響など、意味のあるサウンドデザインへのヒント。
セッションの内容

ゲームには様々なシチュエーションが存在し、そこで使われる「音」には状況や心情を補完する何らかの役割があることでしょう。みなさんよくご存じかと思われる緊急地震速報のアラート音は「人々を不安にさせないように警戒させ、安全に導く音をさまざまな考察により決定した」という背景があります。シンプルなシグナルにどのような考察があったのかを知ることは、より意味のあるサウンドデザインへのヒントに繋がると考えます。この事例をもとに、サウンドデザインに対する機能的なアプローチについて、音響学や福祉工学の観点からお話し致します。


講演資料

  • C13_180.pdf

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講演者プロフィール

伊福部 達

伊福部 達
所属 : 東京大学
役職 : 高齢社会総合研究機構<br>名誉教授

1946年北海道生まれ、1971年北海道大学大学院修士課程(電子工学)修了後、1984-1985年米国スタンフォード大学客員助教授、1989年北大・電子科学研究所・教授、2002年東京大学先端科学技術研究センター・教授。この間一貫して「感覚・コミュニケーション支援のための福祉工学の開拓と産業応用の研究」に従事。北大・名誉教授、東大・名誉教授。電子情報通信学会フェロー、バーチャルリアリティ学会フェロー、現在:バーチャルリアリティ学会会長など。賞として、第2回デザイン大賞受賞(人工喉頭の開発)、2012年中山賞大賞受賞(医療福祉への工学技術の応用)、第17回「音の匠」顕彰受賞(緊急地震速報チャイムの制作)など。2011年より東京大学高齢社会総合研究機構・特任研究員。

著書として、「音声タイプライタの設計」(CQ出版1983年)、「音の福祉工学」(コロナ社1997年)、「福祉工学の挑戦」(中公新書2004年)、「ゴジラ音楽と緊急地震速報」(監修 ヤマハミュージックメディア2012年) 
など。


《講師からのメッセージ》

講演では、九官鳥や腹話術さらにコウモリなど特殊な声を出す仕組みのナゾ解きをしながら、人間や動物が潜在的に持っている音の感性について述べる。それらが音や映像を指先で知る「触覚ケータイ電話」、声を出せなくなった人の「人工喉頭」、スマホをなぞって声にするアプリ「ゆびで話そう」、さらに音で「気配」を作る装置に結びついていく過程を話す。そして、ゴジラ音楽で知られている作曲家の叔父(伊福部昭)から教わった映画音楽の4つの効果に触れながら、どのようにして緊急地震警報のアラート音ができたかを詳しく述べる。おわりに、その作成手法はコンピュータエンターテイメントにおける音作りにも十分に生かされることを強調したい。